【海外への支払いで大失敗!?】源泉徴収忘れが招く「グロスアップ」の恐怖!

【海外への支払いで大失敗!?】源泉徴収忘れが招く「グロスアップ」の恐怖!

近年、クラウドソーシングを通じて海外の企業やフリーランスにデザイン・システム開発を依頼したり、海外の専門家にコンサルティングを依頼したりする中小企業が増えています。

こうした海外取引で、経理担当者が最も冷や汗をかく瞬間――。

それが、税務調査での**「この海外への支払い、日本の源泉徴収が漏れていますよ」**という指摘です。

「忘れていたなら、後から払えばいいんでしょ?」と軽く考えていると、想定外の多額の出費を強いられることになります。今回は、海外取引における源泉徴収漏れが招く**「グロスアップ」**の恐ろしさについて解説します。


1. 「後から返して」が通用しない海外取引のリスク

国内の取引先や社員に対して源泉徴収を忘れてしまった場合、基本的には「税金分を引き忘れたので返金してください(または次回の支払いから相殺します)」とお願いし、回収した税金を税務署に納めます。

しかし、相手が海外拠点の場合、そう簡単にはいきません。

  • 回収の困難さ: すでに契約が終了していたり、相手が退職していたりすると連絡すらつかない。

  • 商習慣の違い: 「契約通りの金額を受け取っただけだ。日本の税制など知らない」と突っぱねられるのがオチです。

結果として、相手から回収できない税金分を**「自社が自腹で被る」**という事態に陥ります。


2. 会社が「自腹」を切ると税金が雪だるま式に増える!?

「本来100万円の支払いで20万円を源泉徴収すべきだったから、自腹で20万円を納めれば終わり」……。

残念ながら、**税法ではそのようには計算しません。ここが最も恐ろしい点です。 税務上、会社が相手の代わりに税金を負担することは、「相手に対して、さらに税金相当額の報酬(経済的利益)を追加で与えた」**とみなされます。


3. 恐怖の「グロスアップ計算」の仕組み

相手が受け取った金額を「税引後の手取り額」と仮定し、そこから逆算して「本来の額面(総支払額)」を割り出す計算を**「グロスアップ」**と呼びます。

【シミュレーション】源泉税率 20.42% の場合

海外の相手に 100万円 を送金し、後日ミスが発覚して自腹で納税する場合:

  1. 本来の額面を計算

    $100\text{万円} \div (1 – 0.2042) = \text{約}125\text{万}6,000\text{円}$

  2. 納めるべき源泉税

    $125\text{万}6,000\text{円} \times 20.42\% = \text{約}25\text{万}6,000\text{円}$

【結論】

本来は20万4,200円の納税で済むはずが、グロスアップによって約25万6,000円に跳ね上がります。

さらに、ここへ「不納付加算税」や「延滞税」などのペナルティが加算されるため、会社側の負担は非常に重くなります。


まとめ:海外送金の前には「額面」か「手取り」かの確認を!

海外へ支払いをする際には、以下の2点を必ず事前に行いましょう。

  • 源泉徴収の要否を確認する

    その支払いが日本の源泉徴収対象か、また「租税条約」の届出により免除・軽減されないかを精査する。

  • 契約書を明確にする

    契約金額が、税金を引く前の**「額面(グロス)契約」なのか、税金を引いた後に相手が受け取る「手取り(ネット)契約」**なのかを、相手と書面で合意しておく。

税額計算の誤りや源泉徴収の漏れによるリスクは、すべて支払う側(日本企業)が被ることになります。海外取引の請求書が回ってきたら、安易に振り込む前に、顧問税理士や専門家に確認するプロセスを徹底しましょう!

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