国外転出時課税(出国税)について、規定の整備がなされます
1 相続の後発事由に係る規定の整備
相続開始年分の所得税につき贈与等に係る出国税の課税を受けた居住者につき以下の事由が生じたことにより、非居住者に移転した出国税の対象資産が当初申告と異なることとなった場合には、その居住者の相続人は、その事由が生じた日から4月以内に、相続開始日の属する年分の所得税について税額が増加する場合等には修正申告書を提出しなければならず、税額が減少する場合等には更正の請求ができることとされます。
・ 未分割財産について法定相続分の割合に従って対象資産の移転があったものとして贈与等時課税制度の適用があった後に、遺産分割が行われたこと
・ 強制認知の判決の確定等により相続人に異動が生じたこと ・ 遺留分による減殺の請求に基づき返還すべき、又は弁償すべき額が確定したこと ・ 遺贈に係る遺言書が発見され、又は遺贈の放棄があったこと ・ 相続等により取得した財産についての権利の帰属に関する訴えの判決があったこと ・ 条件付きの遺贈について、条件が成就したこと |
2 所定のストックオプションの適用除外
対象となる有価証券等の範囲から、新株予約権等で株式を無償又は有利な価額により取得することができるもののうち、その行使による所得の全部又は一部が国内源泉所得となるものが除外されます。
3 納期限の適正化
納税猶予に係る期限の満了に伴う納期限が、国外転出等の日から5年4月を経過する日(現行:5年を経過する日)とされます。
4 簿価のステップアップ等の適正化
出国税の適用を受けていない場合には、国外転出等の時において保有等をしている対象資産又は贈与等により移転した対象資産について、取得価額をその国外転出の時等における価額をもって取得したものとみなす措置を適用しないこととされます。
5 納税猶予後の有価証券の譲渡の計算方式
納税猶予の適用を受けている者が、国外転出の後に有価証券等の譲渡等をした場合において、その譲渡等をした有価証券等がその国外転出の時において有していたものであるかどうかの判定は、以下の通り行われます。
① 有価証券等を「納税猶予の適用を受けているもの」とそれ以外に区分する。
なお、「納税猶予の適用を受けているもの」には、贈与等により取得した有価証券等でその贈与者等が納税猶予の適用を受けているものを含むものとする。 ② 「納税猶予の適用を受けていない有価証券等」から先に譲渡したものとする。 ③ 「納税猶予の適用を受けている有価証券等」を譲渡したものとされる場合については、先に取得したものから先に譲渡したものとする。 |
6 上場株式等に係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除
これらの対象となる上場株式等の譲渡の範囲に、国外転出をする場合の譲渡所得等の特例又は贈与等により非居住者に資産が移転した場合の譲渡所得等の特例の適用により行ったものとみなされた譲渡が加えられます。
7 その他所要の措置が設けられます。
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