2025年(令和7年)、日本の税制にまた新たな動きがあります。特に今回は「国際課税(グローバルな税金のルール)」の分野で大きな改正や制度の整備が行われる予定です。
「うちは中小企業だし、多国籍企業の税制なんて関係ないのでは?」
そう思われるかもしれませんが、海外に子会社がある企業や、海外取引を行っている企業にとっては、無視できない事務手続きの変更やルールの見直しが含まれています。今回は、令和7年度税制改正のうち、中小企業の実務にも影響しそうなポイントをピックアップして解説します。
1. グローバル・ミニマム課税の導入が進む(ただし、対象は超大企業)
まず、ニュースなどで耳にすることの多い「グローバル・ミニマム課税」についてです。これは、法人税率が低い国(タックスヘイブンなど)を利用した節税を防ぐため、「世界のどこでビジネスをしても最低15%の税金を払ってもらう」という国際的なルールです。
令和7年度改正では、このルールに基づき、以下の新しい仕組みが整備されます。
• 各対象会計年度の国際最低課税額に対する法人税の創設
日本国内のグループ会社が、低税率国にあるグループ会社の所得に対して、最低税率(15%)に満たない分を日本で納税する仕組みなどが導入されます。
【中小企業への影響は?】 ご安心ください。この制度の対象となるのは、総収入金額が7億5,000万ユーロ(約1,100億円以上)の多国籍企業グループに限られます。したがって、一般的な中小企業がこの「ミニマム課税」を直接申告・納税することは基本的にありません。
2. 海外子会社がある企業は注意!「外国子会社合算税制(CFC税制)」の見直し
中小企業にとってより身近なのは、**「外国子会社合算税制(CFC税制)」**の改正です。 これは、日本の親会社が、税率の低い国にある子会社の所得を合算して日本で税金を払う制度ですが、今回のグローバル・ミニマム課税の導入に伴い、二重課税を防ぐための調整や事務負担を減らす見直しが行われます。
① 書類添付義務・保存義務の緩和
これまでは、確定申告書に添付しなければならなかった一部の書類(株主資本等変動計算書や貸借対照表、損益計算書など)について、**「保存」**しておけば申告書への添付は不要(提示を求められた際に出せればOK)となる改正が行われます。 事務作業が少し楽になる嬉しい変更点です。
② 合算時期の見直し
外国子会社の所得を日本の親会社の所得に合算する時期について、従来は「外国子会社の決算終了日の翌日から2ヶ月を経過する日を含む事業年度」とされていましたが、今回の改正でルールが見直されます。決算月が異なる海外子会社を持つ企業は、計上のタイミングが変わる可能性があります。
3. 非居住者の金融口座情報の報告制度(暗号資産も対象へ)
海外に口座を持つ富裕層や、海外への送金に関する監視が強化されています。 令和7年度改正では、**「非居住者に係る金融口座情報の自動的交換のための報告制度」**が改正されます。
• 任意届出書の提出: 営業所等の長に対し、居住地国確認書類等の提示などが求められるようになります。
• 報告対象の拡大: 2か国・地域の租税条約等の相手国等が追加されました。
また、近年利用が増えている**暗号資産(仮想通貨)**についても、非居住者の取引情報を交換するための報告制度の導入が進められています。海外で暗号資産運用を行っている個人や法人は、より透明性の高い情報開示が求められることになります。
4. その他:国際園芸博覧会(2027年)に関する特例
令和9年(2027年)に開催される国際園芸博覧会に参加する外国の公式参加者等に対し、課税を免除するなどの特例が創設されます。関連ビジネスを行う企業にとっては、知識として持っておくと良いでしょう。
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まとめ
令和7年度の国際課税関係の改正は、巨大企業向けの「グローバル・ミニマム課税」がメインテーマですが、その裏で既存の制度(CFC税制など)の微調整が行われています。
• 超大企業向け: 新たな法人税の仕組みがスタート。
• 海外子会社を持つ中小企業: 申告書への添付書類が減る(保存でOKになる)など、実務が少し変わる。
「うちは対象になるのかな?」「書類の保存だけで本当にいいの?」と不安な場合は、国際税務に詳しい税理士に早めに相談することをおすすめします。制度は複雑ですが、正しく理解して賢く対応していきましょう。
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