【保存版】外国法人日本支店の決算・税務申告チェックリスト
「海外の本社から『日本の税務申告は大丈夫か?』と聞かれたが、何を確認すればいいかわからない」 「日本の内国法人と同じ感覚で処理していたら、税務調査で指摘された」
外国法人の日本支店(PE:恒久的施設)の税務は、日本の通常の法人税務に加え、本国との取引(内部取引)や租税条約が絡むため、特有のリスクがあります。今回は、確定申告前に必ず確認しておきたいポイントを「法人税」「消費税」「源泉所得税」の3つの視点で整理しました。
1. 法人税(Corporate Tax)のチェックポイント
日本支店は、支店独自の「損益計算書」を作成し、日本で発生した所得(PE帰属所得)について法人税を納める必要があります。
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本店経費の配賦(Allocation)は適正か? 日本支店の売上に貢献している「本店(Head Office)の共通経費」を日本の経費として計上する場合、その配賦基準は合理的ですか?また、配賦計算書などの証憑書類は保存されていますか?税務調査では、証拠がないと否認されるリスクが高い項目です。
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内部取引(本店との取引)の価格は適正か? 支店と本店間の資金移動やサービスのやり取りも、独立企業間価格(ALP)で行われたとみなして所得計算を行う必要があります(AOA:本支店間の内部取引の認識)。「身内だから」とどんぶり勘定になっていませんか。
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租税公課の取り扱いは正しいか? 本国の税金など、日本の法人税法上で損金(経費)にならないものが混ざっていませんか?日本の税法に基づいた税務調整(申告調整)が必要です。
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グローバル・ミニマム課税(第2の柱)の対象ではないか? 令和7年度(2025年度)改正により、総収入金額7億5,000万ユーロ(約1,100億円)以上の多国籍企業グループに属する外国法人は、日本支店等の所得に関して「国際最低課税額に対する法人税」等の申告が必要になる場合があります。自社が対象グループか、本国側に確認が必要です。
2. 消費税(Consumption Tax)のチェックポイント
外国法人であっても、日本国内で課税売上があれば消費税の納税義務が生じます。
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納税義務の免除判定(資本金基準・売上基準)を行ったか? 「資本金1,000万円未満なら2期目まで免税」という常識は、外国法人には通用しない場合があります。
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特定期間の判定: 前事業年度の上半期の売上や給与支払額による判定が必要です。
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大規模グループ判定: 資本金1,000万円未満でも、総収入金額50億円超の外国法人グループに属して設立された新設法人は、当初から免税事業者になれません(令和6年度改正事項)。
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輸出免税の証明書類は揃っているか? 本国への売上やサービスの提供などを「輸出免税」として処理している場合、輸出許可証などの証明書類の保存が必須です。郵便(EMS等)で送った場合も控えが必要です。
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「リバースチャージ」や「プラットフォーム課税」の対象取引はないか? 国外事業者から「電気通信利用役務(デジタルサービス)」の提供を受けた場合、リバースチャージ方式による納税が必要なケースや、令和7年4月以降はプラットフォーム課税の影響を受ける可能性があります。
3. 源泉所得税(Withholding Tax)のチェックポイント
日本支店がお金を支払う際、「源泉徴収」が必要かどうかの判断は非常に重要です。
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本店への支払いに源泉徴収漏れはないか? 原則として、日本支店から海外本店への送金(利益送金)には課税されませんが、**「使用料(ロイヤリティ)」や「利子」**としての性質を持つ支払いは、源泉徴収が必要となる場合があります。
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租税条約の届出書は提出済みか? 海外への支払いで軽減税率(例:10%→0%など)を適用する場合、支払日の前日までに「租税条約に関する届出書」を税務署へ提出している必要があります。「条約があるから自動的に安くなる」わけではありません。
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従業員(Expats)の給与課税は正しいか? 海外から派遣されている駐在員の給与について、日本で支払われている分だけでなく、本国で留守宅手当として支払われている分も合わせて日本の源泉徴収対象(経済的利益)に含めていますか?これを「グロスアップ計算」して納税する必要があります。
まとめ:外国法人の税務は「見なし」と「確認」が命
外国法人の日本支店は、日本の内国法人と似て非なる税務処理が求められます。特に以下の3点は致命的なミスになりやすいため、重点的にチェックしてください。
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本店配賦経費の根拠資料はあるか?
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消費税の納税義務判定(グループ規模基準)は大丈夫か?
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租税条約の届出書は期限内に出しているか?
不安な点がある場合は、国際税務に詳しい税理士への相談をおすすめします。複雑なルールを正しく理解し、無駄な追徴課税を防ぎましょう。
※本記事は一般的な情報をまとめたものです。個別の事例については専門家にご確認ください。
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