【海外取引の税務調査】「海外だからバレない」はもう古い?税務署が持つ3つの強力な情報網
中小企業においても、海外企業との取引や、経営者個人の海外での資産運用が珍しくなくなりました。
そんな中、
「海外の銀行口座にお金を入れておけば、日本の税務署には分からないだろう」
「海外への支払いなら、少し経費を水増ししてもバレないのでは?」
と軽く考えてしまうケースがあるかもしれません。
しかし、それは非常に危険な勘違いです。近年、国税庁は国際的な税逃れに対して極めて厳しい目を向けており、海外の情報を収集するための強力なネットワークを構築しています。
今回は、税務署がどのようにして海外取引や海外資産の申告漏れを見抜いているのか、その**「3つの強力な情報網」**について解説します。
1. 100万円超の資金移動は筒抜け!「国外送金等調書」
日本から海外へお金を送る、あるいは海外から日本へお金を受け取る際、その金額が100万円を超える場合、金融機関は税務署に対して**「国外送金等調書」**という書類を提出する義務があります。
💡 税務調査の事例
ある法人が海外の個人に対して多額の送金を行っていました。税務署がこの「国外送金等調書」を端緒に調査をした結果、実際には架空の業務委託費を計上し、経営者の知人名義の海外口座に裏金をプールしていたことが発覚しました。
銀行などの金融機関を通じて送金・受金をしている限り、100万円を超える資金の動きは**「すべて税務署に把握されている」**と認識しておく必要があります。
2. 世界中の口座情報が自動で共有される「CRS(共通報告基準)」
「日本から送金せずに、最初から海外で稼いで海外の口座に入れっぱなしにしておけば分からないのでは?」
そう考えるのも過去の話です。現在、世界中の多くの国が**「CRS(共通報告基準)」**という仕組みに参加しています。
| 項目 | 内容 |
| 仕組み | 各国の税務当局が、自国内の金融機関にある「非居住者(外国人など)の口座情報」を収集。 |
| 情報の流れ | 収集された情報は、その人の居住国の税務当局へ「自動的」に提供される。 |
💡 税務調査の事例
日本の居住者が海外の銀行に多額の預金を保有し、利子を得ていました。本人は日本で申告していませんでしたが、CRSに基づく外国当局からの情報提供により、海外口座の存在と利子所得の申告漏れが発覚。多額の追徴課税を受けることとなりました。
3. 不審な取引は相手国に直接確認!「情報交換要請」
日本の税務署は、税務調査において海外取引に不審な点(実態の不明なコンサルティング料や販売手数料の支払いなど)を見つけた場合、租税条約等を結んでいる**相手国の税務当局に対して直接「情報交換要請」**を行い、調査を依頼することができます。
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現地の実態確認: 事務所が実在するか、従業員がいるかなどを調査。
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契約の真実性: 支払った資金がどこへ流れたかを追跡。
💡 税務調査の事例
日本の法人が海外の関連会社へ「販売手数料」を支払っていました。日本の税務署が相手国へ情報交換を要請したところ、その関連会社には事業実態がなく、日本の従業員が設立したペーパーカンパニーであることが判明。架空経費として否認されました。
このように、日本の税務署の調査権限は、ネットワークを通じて海を越えた相手国にまで及ぶのです。
まとめ:海外取引こそ「透明性」と「正しい税務処理」を!
一昔前と違い、現在は以下の3本柱によって、国境を越えた資金の流れは**「ガラス張り」**になりつつあります。
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国外送金等調書: 100万円超の送金を把握
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CRS: 海外口座情報を自動で共有
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情報交換要請: 外国当局との緊密な連携
「海外だからバレない」という安易な考えは捨て、国内取引以上に適正な経理処理と申告を心がけましょう。
判断に迷う取引がある場合は、国際税務に詳しい税理士などの専門家に早めに相談することをおすすめします。
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