Q&A
課税事業者選択届出書を提出して調整対象固定資産を購入した場合、消費税2割特例は使える?
インボイス制度開始に伴い注目されている消費税の「2割特例」。
一方で、設備投資などで**高額な固定資産(調整対象固定資産)**を購入した事業者から、次のような質問が増えています。
「課税事業者選択届出書を出して設備投資をしました。この場合、2割特例は使えますか?」
本記事では、この論点をQ&A形式で整理します。
Q1. 消費税の「2割特例」とは何ですか?
A.
インボイス制度への対応負担を軽減するために設けられた経過措置で、
一定の条件を満たす事業者は、売上に係る消費税額の2割を納税額とすることができます。
主なポイント
-
対象期間:
令和5年10月1日~令和8年9月30日を含む課税期間 -
対象事業者:
インボイス発行事業者となった免税事業者出身の事業者 -
実務上の効果:
仕入税額控除を計算せず、簡便に納税額を算定可能
Q2. 調整対象固定資産とは何ですか?
A.
消費税法上、次の要件を満たす固定資産を指します。
-
1つの資産につき 税抜1,000万円以上
-
事業の用に供する建物、機械装置、工具器具備品など
調整対象固定資産を取得した場合、
原則として取得後3年間は消費税の課税関係に制限がかかります。
Q3. 課税事業者選択届出書を提出して固定資産を購入しました。この場合、2割特例は使えますか?
A. 結論:使えません。
理由は、2割特例の適用要件から明確に除外されているためです。
Q4. なぜ使えないのですか?(制度上の理由)
A.
消費税2割特例は、次の事業者を想定した制度だからです。
-
本来は免税事業者であったが
-
インボイス発行事業者になるために
-
やむを得ず課税事業者になった事業者
一方で、
-
課税事業者選択届出書を提出した事業者
-
調整対象固定資産を取得して還付を受ける事業者
は、**制度的に「自ら課税を選択した事業者」**と位置づけられています。
そのため、
課税事業者選択届出書を提出した課税期間は、2割特例の対象外
と明確に整理されています。
Q5. 「固定資産を買ったからダメ」なのですか?それとも「届出書を出したからダメ」なのですか?
A. ポイントは「課税事業者選択届出書」です。
整理すると次の通りです。
| ケース | 2割特例 |
|---|---|
| インボイス登録のみ(課税事業者選択届出書なし) | 〇 使える |
| 課税事業者選択届出書を提出 | ✕ 使えない |
| 調整対象固定資産を購入し、課税事業者選択届出書を提出 | ✕ 使えない |
固定資産の金額そのものより、届出の有無が決定的です。
Q6. 課税事業者選択届出書を出すと、どのくらい影響が続きますか?
A. 原則として「最低2年間」は取り消せません。
さらに、
-
調整対象固定資産を取得した場合
-
原則3年間は免税に戻れない
という制限がかかります。
👉
短期的な消費税還付を狙った結果、
数年間の税負担増につながるケースも多いため注意が必要です。
Q7. 実務上、特に注意すべきポイントは?
A. 次の3点です。
① インボイス登録と課税事業者選択は「別物」
-
インボイス登録 = 自動的に課税事業者になるとは限らない
-
課税事業者選択届出書を出すかどうかで、使える特例が大きく変わる
② 高額設備投資前のシミュレーションは必須
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還付額
-
その後数年間の消費税負担
-
2割特例が使えない影響
をトータルで比較する必要があります。
③ 「あとから2割特例にしたい」はできない
-
届出は原則として取り消し不可
-
課税期間単位での選択も不可
まとめ
課税事業者選択 × 調整対象固定資産 × 2割特例の結論
-
課税事業者選択届出書を提出した課税期間は、2割特例は使えない
-
調整対象固定資産の取得が絡むと、影響は数年間続く
-
インボイス対応・設備投資は「消費税の出口戦略」まで含めて判断すべき
消費税は「届出一枚」で数年の税負担が決まる税目です。
設備投資や法人化、インボイス対応を検討している場合は、
必ず事前に専門家へ相談することをおすすめします。
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