日米間の相続税と贈与税の違い:二重課税を避ける方法

日米間の相続税と贈与税の違い:二重課税を避ける方法

日米にまたがる家族、資産、相続──その税務は“知らなかった”では済みません。

国際化が進む中、日本とアメリカの両国に資産や家族を持つ方が増えています。しかし、両国の相続税・贈与税の制度は大きく異なり、適切な対応をしないと「二重課税」に直面するリスクもあります。

この記事では、日米間の相続税・贈与税の制度の違いを整理し、二重課税を避けるための実務的なポイントを解説します。


1. 日本とアメリカの税制度の基本的な違い

■ 日本の相続税・贈与税の特徴

  • 受贈者・相続人ベース(取得者課税)
    → 資産をもらった人が納税者となる

  • 日本に住所がある場合は全世界の財産が課税対象

  • 相続税・贈与税は別々の税制(一体課税ではない)

■ アメリカの相続税・贈与税の特徴

  • 贈与者・被相続人ベース(移転者課税)
    → 財産を渡す側が原則納税者

  • 米国市民・居住者は全世界の財産が対象

  • 相続税(Estate Tax)と贈与税(Gift Tax)は**統一の生涯控除枠(Unified Credit)**を利用

  • 年間贈与控除(Annual Exclusion):2025年現在、1人あたり$18,000まで非課税


2. よくある二重課税のパターンとは?

日本とアメリカは相続税・贈与税の課税主義や納税者が異なるため、同じ取引で両国で税金が課される可能性があります。たとえば:

【ケース①】日本居住の子が、米国在住の親から相続を受けた場合

  • アメリカでは被相続人(親)にEstate Taxが課税

  • 日本では相続人(子)が相続税を負担
    両国で課税対象となり、二重課税の恐れ

【ケース②】日本在住の親が、米国在住の子に贈与した場合

  • 日本では贈与を受けた子に贈与税

  • アメリカでは贈与した親(非米国居住者)には課税されない場合も
    ⇒ でも金額次第でIRSへの申告義務は発生


3. 二重課税を回避する方法

✅ 米国の「外国税額控除(Foreign Tax Credit)」を利用

アメリカ側でEstate Taxが発生した場合、日本で相続税が課されても、米国では日本で支払った税金を一定額控除できます。ただし申告期限と手続きが複雑なため、専門家のサポートが重要です。

✅ 日米の「租税条約(相続税条約)」を活用する

日米間には相続税に関する租税条約(1955年発効)が存在します。この条約により、以下のようなメリットがあります:

  • 二重課税の回避・軽減

  • どちらの国でどの資産が課税されるかのルールが明確に

  • 日本居住者の米国資産でも、日本で控除が認められるケースあり

ただし、この条約は贈与税には適用されないため、贈与の際は別途検討が必要です。

✅ 生前贈与・信託などの計画的対策を検討

  • 米国の年間贈与控除枠を活用した分割贈与

  • **リビングトラスト(生前信託)**を活用して、米国側でのEstate Tax対象を調整

  • 日本側では、相続時精算課税制度を活用して贈与税の負担を軽減


4. 実務で注意すべきこと

■ 「居住者」かどうかで課税範囲が変わる

日米での「居住者(resident)」の定義が異なるため、同じ人物でも日本では非居住者、米国では居住者扱いになることがあります。これにより課税範囲が変わるため、判断には慎重さが求められます。

■ 申告漏れに要注意

特にアメリカ側は申告義務が厳格で、Form 3520Form 706 などの提出が必要になるケースもあります。無申告や誤申告は高額な罰金につながる恐れもあるため、注意が必要です。


まとめ:国際相続・贈与は専門家の連携がカギ

日米間の税制は構造が異なるため、相続や贈与を検討する際は一国だけでなく両国の制度を理解する必要があります。個人で対応するのは難しく、国際税務に精通した税理士や弁護士の支援を受けることが、二重課税を避ける最も効果的な方法です。


家族の未来と財産を守るために──国をまたぐ相続と贈与には、慎重な計画と専門知識が不可欠です。

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