非上場株式等についての贈与税の納税猶予

1 制度のあらまし

 後継者である受贈者(「経営承継受贈者」といいます。)が、贈与により、経済産業大臣の認定を受ける非上場会社の株式等を先代経営者である贈与者から全部又は一定数以上取得し、その会社を経営していく場合には、その経営承継受贈者が納付すべき贈与税のうち、その非上場株式等(一定の部分に限ります。)に対応する贈与税の納税が猶予されます。
 この猶予された税額は、先代経営者や経営承継受贈者が死亡した場合などは納付が免除されます。なお、免除されるときまでに特例の適用を受けた非上場株式等を譲渡するなど一定の場合には、猶予されている税額の全部又は一部を利子税と併せて納付する必要があります。

2 特例を受けるための要件

 この特例の適用を受けるためには、「中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律」(「円滑化法」といいます。)に基づき、会社が「経済産業大臣の認定」を受ける必要があります。なお、「経済産業大臣の認定」を受けるためには、原則として、贈与の日の属する年の翌年の1月15日までにその申請を行う必要があります。

(注)

  • 1 平成25年4月1日前に認定の申請をする場合など中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律施行規則の一部を改正する省令(平成25年経済産業省令第18号)による改正前の中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律施行規則(以下「平成25年改正前の円滑化法施行規則」といいます。)により認定を受ける場合には、原則として、事前に経済産業大臣の確認を受ける必要があります。
  • 2 上記における確認及び認定を受けるための具体的な要件、並びに手続については、最寄りの地方経済産業局にお尋ねください。
  • (1) 会社の主な要件
    • イ 経済産業大臣の認定を受けた中小企業者であること
    • ロ 常時使用する従業員数が1人以上(一定の外国会社株式等を保有している場合には5人以上)であること
    • ハ 資産保有型会社又は資産運用型会社で一定のものに該当しないこと
    • ニ この会社の株式等及び特別関係会社(注)のうちこの会社と密接な関係がある一定の会社(以下「特定特別関係会社」といいます。(注))が非上場会社であること
    • ホ この会社及び特定特別関係会社が風俗営業会社ではないこと
    • ヘ この会社の特定特別関係会社が中小企業者であること
    • ト 贈与の日の属する事業年度の直前の事業年度(贈与の日が事業年度の末日である場合には、その事業年度及びその直前の事業年度)の総収入金額が零ではないこと
    • チ 経営承継受贈者以外の者が会社法第108条第1項第8号に規定する種類の株式(拒否権付き株式)を有していないこと
    • リ 贈与の日前3年以内に受けた現物出資等資産の割合が総資産の70%未満であること

    (注)

    • 1 「特別関係会社」とは、この会社と租税特別措置法施行令40の8第6項で定める特別の関係のある会社をいいます。
    • 2 平成25年4月1日前に認定の申請をする場合など平成25年改正前の円滑化法施行規則により認定を受ける場合には、原則として、事前に経済産業大臣の確認を受ける必要があります。
  • (2) 先代経営者である贈与者の主な要件
    • イ 贈与前のいずれかの日において会社の代表権(制限が加えられた代表権を除きます。)を有していたこと があること
    • ロ 贈与の時までに会社の役員を退任すること
    • ハ 贈与直前において、先代経営者及び先代経営者と特別の関係がある者(先代経営者の親族など一定の者)で総議決権数の50%超の議決権数を保有し、かつ、経営承継受贈者を除いたこれらの者の中で最も多くの議決権数を保有していたこと
  • (3) 経営承継受贈者の主な要件
     贈与の時において、次の要件を満たす必要があります。

    • イ 先代経営者の親族であること
    • ロ 20歳以上であること
    • ハ 代表権を有していること
    • ニ 受贈者及び受贈者と特別の関係がある者(受贈者の親族など一定の者)で総議決権数の50%超の議決権数を保有し、かつ、これらの者の中で最も多くの議決権数を保有することとなること
    • ホ 贈与税の申告期限まで特例の適用を受ける非上場株式等の全てを保有していること
    • ヘ 役員等に就任して3年以上経過していること

(注) 平成25年4月1日前に認定の申請をする場合など平成25年改正前の円滑化法施行規則により認定を受ける場合には、原則として、上記の要件に加え、経済産業大臣の確認を受けた会社に係る特定後継者であることが必要となります。

3 特例の対象となる非上場株式等の数

 特例の対象となる非上場株式等の数は、次のA、B、Cの数を基に(1)又は(2)の区分の場合に応じた数が限度となります。
  「A」・・・先代経営者が贈与直前に保有する非上場株式等の数
  「B」・・・経営承継受贈者が贈与前から保有する非上場株式等の数
  「C」・・・贈与時の発行済株式等の総数

  • (1) A+B<C×2/3 の場合  A
  • (2) A+B≧C×2/3 の場合  C×2/3-B

 なお、特例の適用を受けるためには、この限度数以上の数の非上場株式等の贈与を受ける必要があります((1)の場合はAの全部の贈与が必要です)。

 (注) 経営承継受贈者が贈与前から発行済株式数の2/3以上を所有していた場合には特例の適用はありません。

4 納税が猶予される贈与税の額

 贈与税の納税猶予額は、納税猶予の特例を受ける非上場株式等の数に対応する価額から基礎控除額(110万円)を控除した残額に贈与税の税率を適用して計算した額となります。

(注) その非上場株式等を発行する会社又はその会社と特別の関係にある一定の会社が、一定の外国会社又は医療法人の株式等を有するときには納税が猶予される税額の計算の基となる非上場株式等の価額は、その外国会社又は医療法人の株式等を有していなかったものとして計算した金額となります。

5 特例を受けるための手続

  • (1) 贈与税の申告書をその申告期限までに提出するとともに、その申告書に特例の適用を受ける非上場株式等の明細や納税猶予分の贈与税額の計算に関する明細など一定の事項を記載した書類を添付する必要があります。
  • (2) 上記(1)の申告書に納税が猶予される贈与税額及び利子税の額に見合う担保を提供する必要があります。なお、特例の適用を受ける非上場株式等のすべてを担保として提供した場合には、納税が猶予される贈与税額及び利子税の額に見合う担保の提供があったものとみなされます。

6 納税猶予期間中の手続

 引き続きこの特例を受ける旨や特例の対象となる非上場株式等を発行している会社の経営に関する事項等を記載した「非上場株式等についての贈与税の納税猶予の継続届出書」を贈与税の申告期限後の5年間は毎年、5年経過後は3年ごとに所轄税務署へ提出する必要があります。
 なお、継続届出書の提出がない場合には、原則として、この特例の適用が打ち切られ、納税猶予税額と利子税を納付しなければなりません。

7 猶予税額の納付が免除される場合

 次に掲げる場合などに該当したときには、猶予税額の全部又は一部の納付が免除されます。

  • (1) 先代経営者である贈与者が死亡した場合
     この場合、死亡があった日から同日以後6か月を経過する日までに「免除届出書(死亡免除)」を贈与税の納税地を所轄する税務署長に提出する必要があります。
     また、この場合、先代経営者に係る相続税については、贈与税の納税猶予の特例を受けた一定の非上場株式等を経営承継受贈者が相続又は遺贈により取得したものとみなして、贈与時の価額を基礎として他の相続財産と合算して計算することになります。
     なお、その際、一定の要件を満たす場合には、その相続又は遺贈により取得したとみなされた非上場株式等(一定の部分に限ります。)について相続税の納税猶予の特例を受けることができます。
  • (2) 先代経営者である贈与者の死亡前に経営承継受贈者が死亡した場合
     この場合、死亡があった日から同日以後6か月を経過する日までに「免除届出書(死亡免除)」を贈与税の納税地を所轄する税務署長に提出する必要があります。
  • (3) 申告期限後5年を経過した後に、次に掲げるいずれかに該当した場合
     この場合、一定の免除事由に該当することとなった日から2か月を経過する日までに「免除申請書」を贈与税の納税地を所轄する税務署長に提出する必要があります。

    • イ 経営承継受贈者が特例の適用を受けた非上場株式に係る会社の株式等の全部を譲渡又は贈与(以下「譲渡等」といいます。)した場合(その経営承継受贈者の同族関係者(経営承継受贈者の親族など一定の者)以外の一定の者に対して行う場合や民事再生法又は会社更生法の規定による許可を受けた計画に基づき株式等を消却するために行う場合に限ります。)
    • ロ 特例の適用を受けた非上場株式等に係る会社について破産手続開始の決定又は特別清算開始の命令があった場合
    • ハ 特例の適用を受けた非上場株式等に係る会社が合併により消滅した場合で一定の場合
    • ニ 特例の適用を受けた非上場株式等に係る会社が株式交換等により他の会社の株式交換完全子会社等となった場合で一定の場合

8 猶予税額を納付することとなる場合

 猶予税額の納付が免除される前に、次に掲げる場合などに該当することとなったときは、猶予税額の全部又は一部について利子税(原則として年3.6パーセントです。)と合わせて納付する必要があります。

  • (1) 申告期限後5年以内に、経営承継受贈者が代表権を有しないこととなった場合
  • (2) 申告期限後5年以内の一定の基準日において、常時使用する従業員の数が贈与時の数の8割を下回った場合
  • (3) 申告期限後5年以内に、経営承継受贈者及び経営承継受贈者と特別の関係がある者(経営承継受贈者の親族など一定の者)が保有する議決権数の合計が、総議決権数の50パーセント以下となった場合
  • (4) 申告期限後5年以内に、経営承継受贈者と特別の関係がある者のうちの1人が、経営承継受贈者を超える議決権数を有することとなった場合
  • (5) 経営承継受贈者が特例の適用を受けた非上場株式等の全部又は一部を譲渡等した場合
  • (6) 特例の対象となっている会社が解散をした場合又は解散をしたとみなされた場合
  • (7) 特例の対象となっている会社が資産保有型会社又は資産運用型会社で一定のものに該当することとなった場合
  • (8) 特例の対象となっている会社の事業年度における総収入金額が零となった場合

(上記国税庁HPより引用)

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