相談・紛争事例53

財団法人不動産適正取引推進機構 相談・紛争事例53より引用します。

今回は中古マンション売買における瑕疵担保責任をめぐる相談事例です。
築40年程経過した中古マンションを個人の売主から仲介業者を介して購入した個人の方
からの相談です。
瑕疵の内容は、本来ベランダで洗濯機を使用すべき設計になっているマンションのとこ
ろ、前売主の宅建業者がリフォームをするにあたって部屋の中で洗濯機が使える配管に変
更したため、構造上、排水が十分に行われず、排水が溢れるという問題があるというもの
です。この排水管の問題は、購入後管理組合に聞いて判明したもので、管理組合としては
リフォームをした宅建業者が工事内容の確認を管理組合にせずに勝手に行ったことが原因
であると指摘しているとのことです。
相談者は、購入物件にはしばらく住まず、当該瑕疵は引渡し後3か月以上経過した後に
判明、売主は瑕疵担保責任期間(特約で3か月と規定)を過ぎているので責任を負わない
と主張しているとのことで、どのように対応したら良いか当機構に相談してきたものです
(売主はリフォームした宅建業者から購入した後、数か月で売却しています。)。
 
 本件トラブルの原因は、前売主の宅建業者が設計上は出来ない排水管の変更を行って洗
濯機をベランダから室内使用に変えるリフォームをしたことにあると思われます(この点
の事実関係の経緯については管理組合に確認する必要があります。)。
現実的な対応としては、このままでは排水が溢れるため生活に支障をきたし、また階下
への水漏れ事故を生じさせる危険があることから、相談者は元の状態(ベランダでの洗濯
機設置)に修復工事をした上で、その費用を売主に損害金として請求することになるでし
ょう。
しかし、売主の瑕疵担保責任期間が経過していることから、瑕疵責任追及の可否、リフ
ォーム工事を行った売主の前の所有者である宅建業者に対する不法行為責任の追及の可否
について、弁護士に相談して進めていくことが必要でしょう。

リフォーム済み中古マンション等の売買に伴う瑕疵・不具合等の問題については、当機
構に相談が寄せられるケースは少なくありません。例えば、宅建業者が取得した築年数の
経った物件をリフォームして売却したケースなどでは、値段も比較的安価で購入しやすい
面もあり、購入後瑕疵が判明した場合、売主業者の対応が不十分なため問題になっている
ケースもあります。消費者の側も中古物件を購入する場合には、契約前に充分な検討・検
証を行い、くれぐれも慎重に判断することをお勧めしたいものです。
また、仲介をする宅建業者においては、リフォーム済み中古マンションの売買の媒介を
する場合、売主に修繕履歴の情報開示を促し、買主への情報の提供がなされるよう努める
ことも必要でしょう。                     

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