財団法人不動産適正取引推進機構 相談・紛争事例76より引用します。
中古マンションを媒介した仲介業者の担当者から、「重説において、売主の滞納管理費及
び滞納修繕積立金は説明したが、マンション管理組合全体の修繕積立金の状況について説明
していなかったところ、購入者から、かなりの額の滞納修繕積立金があったと言われ困って
いる。マンション全体の修繕積立金についても説明しなければいけなかったのか。」との
質問がありました。
宅地建物取引業法35条の少なくとも説明すべき事項として、第1項第6号では、「・・・
一棟の建物又はその敷地に関する権利およびこれらの管理または使用に関する事項で契約
内容の別に応じて国土交通省令・内閣府令で定めるもの」の規定があり、施行規則第16号
の2第6号において、「当該一棟の建物の計画的な維持修繕のための費用の積み立てを行う
旨の規約の定めがあるときは、その内容および既に積み立てられている額」と規定されて
います。
また、宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方では、「施行規則第16号の2第6号は、
いわゆる大規模修繕積立金、計画修繕積立金等の定めに関するものであり、一般の管理費
でまかなわれる通常の維持修繕はその対象とされないこととする。また、当該区分所有建
物に関し修繕積立金等についての滞納があるときにはその額を告げることとする。ここで
いう修繕積立金等については、当該一棟の建物に係る修繕積立金積立総額及び売買の対象
となる専有部分に係る修繕積立金等を指すものとする。なお、この積立て額は時間の経過
とともに変動するので、できる限り直近の数値(直近の決算期における額等)を時点を明
示して記載することとする。」としています。
近年、滞納により財政状況が悪くなっている管理組合もあり、中古マンションの媒介にあ
たり、売主の遅延損害金を含めた滞納管理費、滞納修繕積立金だけではなく、マンション全
体の積立金等の状況、その他負担すべき負担金にも注意が必要です。さらに、管理組合総会
や理事会において、大規模修繕工事や管理費値上げ等の検討はされていないか、マンション
で特に問題となっていることはないか等も確認しておきたいところです。
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