相談・紛争事例81

財団法人不動産適正取引推進機構 相談・紛争事例81より引用します。

建築条件付土地売買契約の契約解除について

「建築条件付という土地の売買契約を締結し、同日建築業者と建物請負契約を締結しま
した。ところが、主人の勤務先から転勤命令が出て、いろいろ家族で相談したのですが、
主人だけ単身赴任させる訳にもいかず、加えて購入したところからも通えないので、解約
したいと申し出たところ、『自己都合による解除なので手付解除になる。』といわれました。
転勤先への引っ越し等もあり家族全員悩んでおりますが仕方がないのでしょうか?」との
相談がありました。

今回の事例は、売買契約締結後、いきなり転勤命令が出て、買主の立場からすれば 「購
入するための前提条件」 が変わったのであり、 「白紙解除ができて当然だ」 と思われる
人も多いでしょう。しかし、転勤を理由にして売買契約を解除しようとしても、それはあ
くまでも 「自己都合による契約解除」 とされ、自動的に白紙解除となるものではありま
せん。
売買契約は売主と買主の双方がきちんと債務を履行することを前提として成り立つもの
であり、決してどちらか一方の都合だけを優先させるものではありませんから、 「自己都
合による契約解除」 について厳しい判断がされるのも、ある程度は仕方がないのです。
いずれにせよ、転勤を理由に売買契約をやめようとすれば、手付金の放棄による解除が
原則です。
しかし、事情をよく説明して理解を得られれば、売主の譲歩によって白紙解除(合意解
除)にできたりすることもありますので、当事者間で誠実に話し合って円満に解決して欲
しいと思います。

建築条件付土地売買契約では、(1)一定の期間内に建物の建築請負契約を締結することを
条件とすること、(2)(1)の請負契約を締結しなかったとき、又は建築をしないことが確定し
たときはこの土地売買契約は解除となり、(3)(2)により、手付金等が全額返還されます。
ところが、この事例のように、土地売買契約と建物請負契約を同時に結んでしまうと、
前述の約定が意味をなさなくなってしまいます。
建築条件付土地売買契約で一番多いトラブルが、売主の指定する建築業者と買主間で「建
築計画の打合せ」(設計協議)がないままに、土地売買契約締結と同日に売主側が事前に用
意している参考プラン等でとりあえず建築請負契約を締結している場合です。
買主との建物の具体的な打合せのないまま、参考プラン等で建築の請負契約を締結して
いたときに買主との間で契約解除に関してトラブルが生じた場合、当該建築請負契約の効
力が争われることになります。
なお、建築条件付土地分譲における建物請負契約が否定された裁判例(名古屋高裁 平
成15年2月5日判決)がありますので、ご参考にしてください。

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