相談・紛争事例87

財団法人不動産適正取引推進機構 相談・紛争事例87より引用します。

Q.戸建住宅の売却依頼を受けましたが、売却する戸建住宅は中古住宅を購入したもので、
売主(元の所有者)から確認済証や検査済証をもらっていないので建築時期が明確でなく、
重要事項説明で耐震診断について説明すべきかどうかの判断ができません。

A.耐震診断の有無等の説明は、宅地建物取引業法施行規則で定める説明事項のひとつ(16
条の4の3(5号))で、建物の売買・交換だけでなく、建物の貸借の契約でも説明すべ
き事項とされています。説明が必要か否かは「建物の建築時期」により判断し、説明が
必要な場合は、「診断の有無」と「診断を受けている場合にはその内容」を説明すること
とされています。

耐震診断に関する説明は、建物が建築基準法の旧耐震基準により建築されている場合の
説明事項とされるもので、建物が新耐震基準により建築されている場合には説明義務はあ
りません。
建物が新・旧どちらの基準による建物かの判断は、確認済証または検査済証に記載され
た「確認済証交付年月日」の日付で確認することになります。建基法の新耐震基準の施行
日が昭和56年6月1日ですので、交付年月日の日付が昭和56年6月1日(新耐震基準の
施行日)以降の建物は新耐震基準により審査された建物で、交付年月日がそれより前の日
付(昭和56年5月31日以前)の建物は旧耐震基準で審査された建物として耐震診断の有
無等を調査すべき建物であることになります。
ご質問のように、確認済証や検査済証が無い場合は、日付が明確な建物の登記簿に記載
された表題登記をもとに判断することとされ(注参照)、戸建住宅のような「居住の用に供
する建物」は表題登記日が昭和56年12月末日以前の建物(マンションのような区分所有
建物は表題登記日が昭和58年5月末日以前の建物)を旧基準の建物として扱います。
(注)宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方/35条1項14号関係
/「五.建物の耐震診断の結果について(規則16条の4の3、5号関係)

業法でいう「耐震診断」とは建基法に規定する「指定検査確認機関」、建築士法に規定す
る「建築士」、品確法に規定する「登録住宅性能評価機関」、「地方公共団体」が、「建築物
の耐震改修の促進に関する法律」の技術上の指針に基づいて行ったものを指し、それ以外
の者や違った方法で行われた耐震診断は「耐震診断」に該当しないこと、また、マンショ
ンの区分所有者である売主から「耐震診断を行っていない」との説明を受けた場合には、
管理組合および管理業者にも問い合わせをして「存在しないことが確認された」場合に調
査義務を果したとされています。なお、業法上の耐震診断に該当しない自治体等による「簡
易診断」が行われているときは、その診断結果は購入者等が売買等の契約を締結するかど
うかの判断・意思決定をするにあたって重大な影響を与える事項と考えられますので、重
説の備考欄等に診断結果の概要を記し、報告書を添付して説明しておくことが必要です。

耐震診断は全ての建物に義務付けられたものではありませんが、「建築物の耐震改修の促
進に関する法律」は、階数3及び床面積の合計5,000平方メートル以上の病院・店舗・ホテル等
の不特定かつ多数の者が利用する旧耐震基準の建築物(要緊急安全確認大規模建築物)等に耐
震診断の実施及びその結果の報告を義務付けているほか、全ての旧耐震基準の建物所有者
は「耐震診断を行い、必要に応じ、耐震改修を行うよう努めなければならない」としてい
ます。(RETIO・No.91、17~参照)

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