相談・紛争事例88

財団法人不動産適正取引推進機構 相談・紛争事例88より引用します。

賃貸借契約申込みのキャンセル料について

今回は、賃貸借契約の仲介業者さんからの相談です。
「アパートの賃貸借契約申込書を提出していた借受希望者が、契約の前日になって、自己
都合でキャンセルしてきた。仲介業者として申込金は預かっていない。貸主は、他に申込
が2件あったが、この借受希望者のために断っている。
借受希望者はキャンセル料(迷惑料)を払っても良いと言っているが、仲介業者として
迷惑料を受領することは可能か?あるいは、当該迷惑料を一旦貸主に払ってもらった後、
貸主から何らかの名目で受領することは問題ないか?」

 まず、媒介業者の仲介手数料は成功報酬ですので、契約前にキャンセルとなった場合は、
契約が成立しなかったので報酬は受領出来ません。当然、迷惑料の受領も不可です。
 また、媒介業者は、貸主からの依頼による特別な広告を除き、貸主から何らかの名目を
つけて受領することもできません。
 貸主・借主間においては、借主が任意にキャンセル料(迷惑料)を支払い、これを貸主
が受領することは問題ありません。民事上の問題として、キャンセルによって貸主に損害
が発生していれば損害賠償請求も可能でしょう。

 今回のご相談では論点ではありませんでしたが、一般的には「契約の成立」については、
以下のとおり取り扱われています。
民法上は、契約は貸主と借主双方の合意で成立し、必ずしも「契約書の作成」は契約成
立の要件ではありません。しかし、実際の取引では、後日のトラブルを防ぐために契約書
を交わすのが一般的です。原則として、貸主と借主の双方が契約書に記名・押印した時点
で契約が成立するとしています(当機構発行の「住宅賃貸借(借家)契約の手引」13ペ
ージ参照)。
 また、仲介業者の宅建業法上の問題として、重要事項説明を契約当日に行うケースも多
いようですが、契約の前日に申込が直前キャンセルとなったにもかかわらず、契約が一旦
成立したと主張して金銭請求などを行いますと、契約成立前に行うべき重要事項説明をし
ていないことになり、宅建業法35条違反を問われることにもなりますので念のため申し
添えます。

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