相談・紛争事例84

財団法人不動産適正取引推進機構 相談・紛争事例84より引用します。

中古のマンションの買主からのご相談です。「仲介業者から重要事項説明を受け、売
買契約を締結し引渡しも受けましたが、「公租・公課の精算」というのがよく分かりま
せんでした。4月1日を起算日にしていると契約書にも書いてあります。精算はしたの
ですが、どうもこちらの方が損をしている気がします。正しいやり方なのでしょうか。」
という内容です。

公租・公課とは、固定資産税、都市計画税など土地建物に課せられる税金です。
固定資産税、都市計画税は、市区町村が1月1日付の固定資産税課税台帳に登録され
た名義人に対して課税する地方税ですが、4月以降に納付書が送付され、原則4回に分
割して納付することになります(全額一括納付もできます)。
取引した年の納税義務者は売主ですが、引渡し日以降の分はその不動産の所有者とな
った買主が負担することになります。
この場合、起算日を明確に定めておく必要がありますが、起算日の定め方には暦年方
式と年度方式があり、起算日により買主の負担には大きな差が生じることもあります。

(1) 暦年方式(1月1日を起算日とする方式)
     暦に合わせて1月1日を起算日として12月31日までとする考え方。
(2) 年度方式(4月1日を起算日とする方式)
国の会計年度に合わせて4月1日を起算日として翌年3月31日までとする考
え方。
*関東では「暦年方式」で、関西では「年度方式」で取引されることが多いようです。

(例1)……A 平成25年6月30日に引渡しをする場合の負担区分

   H25/1/1    H25/6/30     H25/12/31
(1)暦年方式      売主        買主
       |<----->|<-------->|           
          |<--->|<--------------->|    
(2)年度方式                売主                買主
       H25/4/1                     H26/3/31
*年度方式の場合、売主は平成25年度税額のうち4月1日から6
月29日までの90日分相当を負担すればよいことになり、暦年方
式に比べて買主の負担が重くなります。

(例2)……B 平成25年1月31日に引渡しをする場合

          H25/1/1  H25/1/31      H25/12/31
   (1)暦年方式       売主       買主
               |<――>|<――――――――――>|
       |<―――――――>|<―>|――――――――――――――>
   (2)年度方式  売主       買主
      H24/4/1             H25/3/31
*年度方式の場合、精算対象となるのは平成24年度税額です。一見
すると買主の負担が少ないように見えますが、現実には、平成25
年度分については、全額買主負担となりますので、注意が必要で
す。

 相談者には以上のような説明で納得していただきましたが、中古物件等の取引にあた
っては、仲介業者は、図を用いるなどして、買主に誤解のないよう丁寧に説明しておく
必要があります。
 *例示等は公益財団法人不動産流通近代化センターの「宅地建物取引業の実務と知識」等を参
考にしています。   

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