RETIOメルマガ第102号 相談・紛争事例等より

RETIOメルマガ第102号より引用しております。

心理的瑕疵について

 

仲介業者より以下のような相談がありました。

「土地(駐車場)売買契約に際し、対象土地上にあった建物で5~6年前に殺人事件があっ

たことを駐車場管理会社より聞きました。既に従前の建物はなく、所有者も変わっているが、

買主(購入目的:居住用)に説明しなければならないか。」

 

不動産取引において過去に発生した自殺事故等について、それが心理的瑕疵にあたる場合、

媒介業者はその事実を知っているときには「重要な事項」として買主に説明しなければなり

ません。

本件では殺人事件があった建物は存在していませんが、8年前に発生した建物での殺人事

件について、事件があった建物が既に存在しなくても心理的瑕疵はなお存在すると判断して

いる「裁判例Ⅰ」の事例があります。本件買主の土地の購入目的が居住用建物の建築目的で

あることから、本件事件の存在は契約の判断に重要な影響を及ぼす事項といえ、買主に対す

る説明は必要と思われます。殺人事件は、自殺事故と比較し、より嫌悪感が強いといえます

(裁判例参照)。

過去の事故や事件の存在が全て瑕疵に当たるわけではありません。裁判所は「瑕疵といい

うるためには、単に買主において同事由の存する不動産への居住を好まないだけでは足らず、

それが通常一般人において、買主の立場に置かれた場合、当該事由があれば、住み心地を欠

き、居住の用に適さないと感じることに合理性があると判断される程度に至ったものである

と解すべきである」と判示していますが、「瑕疵」にあたるか否かについて、裁判所は、事

案ごとに事件の重大性、経過年数、購入目的、近隣住民の関心の度合等、総合的に判断して

います。

仲介業者にとって、過去に発生した事故が説明すべき瑕疵に該当するか否か、非常に悩ま

しい問題であると思われます。存在が明らかである物的瑕疵と異なり、心理的瑕疵は当事者

の主観的事情に左右されるものであり、瑕疵に該当するかどうかについて明確な基準も見当

たりません。したがって、心理的瑕疵については、各々の事案によって個別に判断すること

になりますが、トラブルの未然防止の観点から、仲介業者は、物件における過去の事故・事

件等の存在を知ったときは、説明しておくことが望ましいといえます。

 

<過去の裁判例Ⅰ>

購入した土地上にあった建物で8年前に殺人事件があったことは土地の隠れた瑕疵とさ

れた事例(大阪高裁 平成18年12月19日)

要旨:本件事件は、病死、事故死、自殺に比べても残虐性が大きく、通常一般人の嫌悪の

度合いも大きいものと考えられる。約8年以上前に発生したものとはいえ、近隣住

民の記憶に少なからず残っており、心理的瑕疵がなお存在する。

 

<過去の裁判例Ⅱ>

購入した土地上にあった建物で8年前に焼身自殺があったことは、隠れた瑕疵にあたら

ないとされた事例(東京地裁 平成19年7月5日)

要旨:本件自殺より8年以上経過しており、本件自殺のあった建物は解体され、本件土地

に自殺の痕跡が一切残っていない。本件自殺は、本件土地が通常有しなければなら

ない性状を欠くといえるほど心理的に嫌忌する事情とはいえず、本件土地の瑕疵と

は認められない。

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