RETIOメルマガ第97号 今日の視点

RETIOメルマガ第97号より引用しております。

★連帯保証人について(その2)

前回のメルマガでは、連帯保証人の保証債務が、更新後の賃貸借契約にも及ぶかなどの

相談例についてご紹介しました。残りの相談例を再掲すると、

(3)賃借人が何度も家賃滞納しその都度立て替えており連帯保証人からはずれたい。

(4)付き合っていた彼女の連帯保証人になっているが別れたので保証人からはずれたい。

(5)連帯保証人が生活保護を受けるようになり保証人としての資力が不足しているとして、

管理会社から別の保証人が立てられなければ契約解除だと言われている。

(6)娘がアパートを借りるに当たって自分は連帯保証人になるつもりだが、別途家賃保証会

社にも依頼する条件があり、おかしくないか。

(3)は、弁済額の増加を抑えるために連帯保証人からはずれることができるかという相談

です。気持ちはわかりますが、連帯保証は、賃貸人が、賃借人の家賃滞納等に備えて特に

求めたものですから、賃貸人の同意を取ることはなかなか難しいでしょう。したがって、

賃借人に対してきちんと賃料を支払うように指導するか、支払えないならば退去を促すこ

とが基本となります。仮に賃借人がこれに従わない場合の解決はなかなか難しいのですが、

賃貸借契約更新の際に連帯保証人側から賃貸人に対し、「更新後については連帯保証しな

い」と明確な意思表示をしておくことは意味があると考えられます。賃貸人との間のその

後の交渉に有利に働くこともありますし、賃貸人によってはこれをきっかけに契約解除に

動く場合もあり得ます。

次に(4)の相談は、賃借人は賃料を支払っており、連帯保証人における弁済は生じていな

いものの、賃借人との関係悪化等の事情により、連帯保証人を降りたいということでしょ

う。この場合も、賃借人に対して、別の連帯保証人を探してもらうよう要請することが基

本となるでしょう。賃借人において退去はしたくないが、別の連帯保証人が見つからない

ような場合は、普及が進んでいる家賃保証会社(日本賃貸住宅管理協会の調査によれば、

家賃保証会社を利用する管理会社の割合は、首都圏でも2012年下期90%の利用率が2013

年上期に98%に、関西圏では94%が100%に上昇し、賃借人に加入を必須とする会社も60%

となっているそうです。)の活用を検討させることも考えられるでしょう。

(5)の相談ですが、賃貸人にしてみれば、連帯保証人に保証能力がなくなったとして、賃

借人に対して別の保証人を立ててほしいというのは理解できますが、賃借人が代わりの保

証人を立てられないことをもって借地借家法28条の契約更新拒絶の正当事由になるとは考

えにくいと思われます。ただ、賃貸人との関係を良好にしておく意味でも、別の保証人を

探したり、前述した家賃保証会社の活用を検討する価値はあると言えるでしょう。

最後に(6)ですが、家賃保証会社の普及が進むにつれて、このような相談も増えてきまし

た。賃借人にとっては、連帯保証人も付けたのに、なぜ保証委託料を払って家賃保証会社

との契約までしなければならないのかという気持ちは理解できます。一方、賃貸人からす

ると、賃料不払いがあってもビジネスとして代位弁済してくれる、しかし家賃保証会社の

保証は一定の制限があるので連帯保証人もつけておきたいという考えもあるでしょう。契

約条件については、まずは貸主が希望することであり、一概にいけないとは言えません。

承服できなければ賃借をしないか、あるいは条件交渉すべきでしょう。

以上のように連帯保証人を巡る相談は多いわけですが、賃借人の信用情報を把握したり

別の担保をとることができない賃貸人が連帯保証を求める行動は変わらないでしょうし、

個人の側でも連帯保証人になることを敬遠する動きは高まり、社会的にも高齢化、核家族

化、個人志向等を背景に、連帯保証人をつけられない賃借人は増えていくと考えられます。

いわば連帯保証の需給ギャップ(連帯保証を求める賃貸人は引き続き多いのに、連帯保証

を引き受ける個人は減る。)に対応して、家賃保証会社が普及してきたとも言えます。そし

て、そのような会社の介在により引き続き多くの賃貸借契約が締結されるならば、一概に

そのビジネスを否定すべきではないでしょう。

ただし気をつけなければならないのは、家賃保証会社については、日本賃貸住宅管理協

会が設けた家賃債務保証事業者協議会による自主ルール(例えば、家賃保証委託契約の申

込者に対し契約の内容を十分理解させること、契約者への求償権行使に当たり平穏な生活

を侵害する行為を行わないこと等が規定されています。)があるだけで、強制力のあるルー

ルはなく、問題があると思われる業者の参入も指摘されています。したがって、家賃保証

会社を活用しようとする場合でも、日本賃貸住宅管理協会のホームページ等を参照するな

どして慎重に選択すべきですし、将来的には強制力のあるルールが必要となると思われま

す。

最後に、家賃保証契約に関するトラブル事例として、仲介業者が賃借人に物件の重要事

項説明を行うに当たり、家賃保証会社と締結する保証委託契約の内容についてきちんと説

明を受けていなかったという苦情が増えていると聞きます。保証委託契約はあくまで家賃

保証会社と賃借人が締結するものであり、契約内容の説明義務は家賃保証会社にあるわけ

ですが、消費者にとってその関係がわかりづらい場合も多いでしょうし、仲介業者(又は

管理会社)が家賃保証会社と提携し、その会社の利用を勧める場合も多いことを考えれば、

仲介業者においてはそのようなトラブルが発生する可能性があることについて十分気をつ

けるべきでしょう。

 

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