RETIOメルマガ第98号より引用しております。
<相談事例>
賃貸借契約に際し、借家人賠償責任保険に加入はしないといけないのかといった相談や、
もらい火をして被害を受けた方から被害に対する請求についての相談がありますので、もし
賃貸物件で賃借人の部屋から火事が発生し、消火のための放水により、他の賃借人の部屋に
被害が及んだケースを例にとり、原則的な内容を確認すると、次のようになります。
日本は木造家屋が多く、火事となった場合被害が甚大となる可能性があり、それに伴う損
害賠償を失火者に負わせるのは過酷であることを考慮して、一般不法行為の特則としてでき
た特別法が失火責任法です。
民法第709条(不法行為による損害賠償)では、故意又は過失によって他人の権利や法
律上保護される利益を侵害した場合、損害賠償責任を負うことが規定されていますが、失火
責任法では、失火者に重大な過失がない場合は民法第709条を適用しない、つまり、損害
賠償責任が免責されることとなりますので、法律上、失火元の賃借人は、重過失がない場合
に限りますが、他の賃借人に対し損害賠償をする義務を負いません。
一方、賃貸人も失火元の賃借人に損害賠償を請求してくると思いますが、失火責任法は債
務不履行責任には適用されないという最高裁判例があり、賃借人には、賃貸借契約に基づく
民法400条(特定物の引渡しの場合の注意義務)が適用されるため、失火元の賃借人は賃
貸人に対し損害賠償責任を負うこととなります。もし借家人賠償責任保険に加入していない
場合、賃貸人からの請求に自費で対応せざるを得なくなり、高額な負担を強いられることと
なりますので、同保険に加入しておくことが賢明と思われます。
なお、失火元の賃借人の責任範囲については、賃借部分と不可分一体の部分に生じた損害
についても賠償責任を負うとする判例もあり、弁護士等相談しながらの対応が必要でしょう。
(不法行為による損害賠償)
第709条 故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、
これによって生じた損害を賠償する責任を負う。
失火の責任に関する法律
民法第709条 の規定は失火の場合には之を適用せず但し失火者に重大なる過失ありたる
ときは此の限に在らず
(特定物の引渡しの場合の注意義務)
第400条 債権の目的が特定物の引渡しであるときは、債務者は、その引渡しをするま
で、善良な管理者の注意をもって、その物を保存しなければならない。
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