今月の視点

RETIOメルマガ第142号より引用

◆◇◆ 今月の視点 ◆◇◆

                  

 

★☆ 国土交通省政策ベンチャー2030について★☆

 

○ 国土交通省において、「不動産業」のあり方に係る中長期的なビジョンを、本年度
(平成30年度)内に策定すべきとの報告書が7月24日に発表されたことは先月触れました

が、7月31日には、「国土交通省政策ベンチャー2030」からの政策提言が発表されてい

ます。

http://www.mlit.go.jp/common/001247739.pdf

 

○ 「国土交通省政策ベンチャー2030」とは、国土交通省の中堅・若手職員が中心となり、

2030年頃のあるべき日本社会の姿を構想し、中長期的な国土交通行政の政策提言をま

とめるプロジェクトとして発足したものです。

 

○ 政策提言を取りまとめるために、現場の声を取り入れるため、1000人行脚も行ったよ

うですが、提言のタイトルは、「日本を進化させる生存戦略」ということで、相当、危

機意識がにじんだものになっています。

 

○ 不動産に関わる提言について見てみると、『たまっていた「宿題」を片付ける』として、

「立地の観点を踏まえた住宅・土地税制等のメリハリ化」、「中心部のタワーマンション

の円滑な更新等の公的位置づけの明確化」が記載されています。

 

○ 前者については、既存ストックの有効活用、放置空き家の未然予防のため、新築住宅の

取得等に係る政策支援措置のあり方を見直し(例:居住を誘導すべきエリアに適用を限

定)、立地の観点を踏まえて、新築住宅の供給に一定の歯止めをかけていくことを提言

しています。

 

○ 都市計画の規制・誘導というアプローチでなく、税制・金融支援を含めた既存の支援措

置の見直しというアプローチを正面から打ち出したところに目新しさが感じられます

が、仮に既存制度を大きく変えるならば、エリア設定のあり方の具体的検討を進めると

ともに、集約型都市の形成が今後のまちづくりにとって不可欠なことを、世の中に一層

浸透させることが重要になってくるでしょう。

 

○ 後者については、都市中心部のタワーマンション等の開発に対して、管理組合等にほぼ

全面的に委ねられている現行の管理・維持修繕のあり方を見直し、最低基準を上回るレ

ベルの管理・維持修繕を義務付け、将来の更新・建替を担保するための措置を設けるこ

とを提言しています。

 

〇 数十年後に、現在の郊外住宅団地等で発生している老朽化、空き住戸化等の問題が、よ

り大規模に、都心部で顕在化するという危機意識をもっての提言は、泥縄型でない、先

取型の問題提議として新味を感じますが、これも、義務付けのあり方の具体的な検討を

進めるとともに、義務付けの公共性・公益性について世の中に周知することが重要にな

ってくるでしょう。

 

〇 本提言は、あくまで、国土交通省の組織としての見解でなく、「国土交通省政策ベンチ

ャー2030」からの斬新な提言ですので、そのことに留意する必要がありますが、都市計

画も、住宅政策も、不動産取引の場で適切な情報提供が行われて実効性が向上するもの

も多く、提言内容の具体化など、今後の政策展開に注目していきたいと思います。

 

〇 また、今回の提言の取りまとめに当たっては、「机の上」だけで考えるのでなく、「現場」

に入って行って、問題の本質を把握し(ファクト・ファインディング)、政策を考える

手法が取られたようですが、このような手法は、非常に大切なものでしょう。

当機構の不動産の適正取引に関する調査研究においても、「現場への目線」を引き続き

重視してまいりたいと思います。

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