財団法人不動産適正取引推進機構 相談・紛争事例77より引用します。
借地権者から次のような相談がありました。
「借地上の自宅(木造2階建)が先日火事で焼けてしまいました。土地賃貸借契約は15
年ほど前に更新して5年の期間が残っていますが、借地権は消滅してしまうのですか?」
というものです。
借地権を設定した地主に対しては消滅しませんが、借地権の存在を知らない買主等の第
三者が現れるとやっかいです。第三者に対する手当てが必要です。
借地借家法の施行(平成4年8月1日)と同時に借地法は廃止され、原則として、借地
借家法が施行日前の借地権にも遡及適用されますが、「借地上の建物が滅失した場合の条
項」については遡及適用されずに、旧借地法が適用されます(借地借家法附則7条)。
相談者は土地賃貸借契約を平成4年8月以前に締結しているということですので、旧借
地法が適用になります。
旧借地法7条は、借地権消滅前に建物が滅失した場合、残存期間を超えて存続する建物
の築造に対し、土地所有者が遅滞なく異議を述べなければ、建物滅失の日から起算して、
堅固の建物は30年、その他の建物は20年間存続すると規定しています。相談者の建物
は木造ですので建物滅失の日から起算して20年になります。
借地権を第三者へ対抗するには借地権の登記が必要(民法177条、民法605条)で
すが、借地権の登記がない場合も、借地の上に登記した建物を所有することで対抗できます
(借地借家法10条1項)。
しかし、登記された建物が滅失したため、再建築した建物を登記する等の手当が必要で
す。差し当たっては、一定の事項を現地の見やすい場所に掲示することで建物の滅失から
2年間だけ対抗力を維持できます(借地借家法10条2項)。
いずれにしても、地主に黙って建物を建築すると地主との間でトラブルになる可能性が
ありますので、再建築について地主の承諾を得ておくことが大事なことではないかと考え
ます。
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