相談・紛争事例80

財団法人不動産適正取引推進機構 相談・紛争事例80より引用します。

(賃貸人からの契約解除について賃借人からの相談)

40年間賃借している戸建住居の借主からの相談がありました。
相談内容は「管理会社から『老朽化』を理由に、退去するように言われました。貸主は礼
金、敷金は預かっていないので払わないが、退去するまでの家賃は免除すると言っていま
す。貸主、借主とも親の代から契約しており、世代交代しています。契約書面は交わして
おらず、更新料の取決めはありませんが、家賃は払っており滞納はしていません。貸主さ
んの言うとおりに退去しなければならないのでしょうか?」というものでした。

今回は戸建住居のケースですが、賃貸マンション・賃貸アパートも含めて、上記のよう
に、老朽化による建替えなどを理由に、貸主側からの契約解除を要求されているがどうし
たら良いか、という借主からの相談は継続的にあります。

借地借家法28条では、「賃貸人の賃貸借の解約の申入れは、・・・正当な事由があると
認められる場合でなければ、することができない」と規定されています。建物の老朽化も、
建物の現況の判断として、正当な事由になり得る場合もありますが、裁判例を見ますと、「老
朽化」が直ちに正当な事由と認められている裁判例は殆どないと言えます。
裁判例では、借地借家法28条に規定されている「財産上の給付」(立退料等)による補
完を考慮した上で、「正当な事由がある」かどうかを判断しているようです(居住用:東京
高判平12・3・23/東京地判平20・4・23 店舗/事務所用:東京地判平23・1・18/東
京地判平24・4・17など)。
賃貸借契約の解除に係る裁判例は、居住用と店舗・事務所用とを併せて比較的多く存在
しますが、上述の判例も含めて、具体的な裁判事例につきましては、不動産適正取引推進機構

のホームページにあります、判例検索システムをご参照ください。
http://www.retio.or.jp/case_search/search_top.php?q=1

借地借家法は、借主が賃貸住宅(借家)を安定的な生活拠点として確保できるように保
護しており、貸主側の事情によって容易に解除ができないようになっています。したがっ
て、借主は、貸主の要求に応じて退去しなければならないということはなく、原則として、
住み続けることができます。
貸主は、立退きのお願いをする立場にありますので、借主と誠実に立退き条件について
合意が得られるように話し合いをする必要があります。借主の合意が得られない場合、そ
れでも、明渡しを求めるのであれば、最終的には裁判所に判断してもらうことになります。

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