相談・紛争事例86

財団法人不動産適正取引推進機構 相談・紛争事例86より引用します。

○賃貸住宅の賃借人から媒介報酬についてご相談です。

Q.賃貸借の場合、仲介手数料は賃料の1か月分が上限だと聞きました。私は賃料月額1
0万円のアパートを借りようとしているのですが、仲介業者に手数料10万5000円を
請求されています。これは法律に違反しているのではありませんか。

A.貸借の媒介を行った宅建業者(消費税課税事業者)が賃貸人・賃借人双方から受け取
る報酬総額としては違反ではありませんが、賃借人から上記金額を受け取るためには賃借
人の承諾が必要です。

建設省告示(昭和45年10月23日建設省告示第1552号 最終改正平成16年2
月18日国土交通省告示第100号)によると、宅建業者(消費税課税事業者)が貸借の
媒介に関して依頼者の双方から受け取ることのできる報酬の総額は<税抜き賃料の1か月
分 × 1.05>が消費税込みの上限とされ、居住用建物の賃貸借契約の媒介に関して
は、依頼者の一方から受け取ることのできる報酬の額は当該依頼者の承諾がなければ
<税抜き賃料の1か月分 × 0.525>が消費税込みの上限とされています。

住宅の賃料には消費税がかかりません(消費税法第6条第1項、同法別表第一第13号)
が、媒介報酬については消費税がかかるため、ご質問のように月額賃料を税込み媒介報酬
額が上回ることがあります。<10万円 × 1.05 = 10万5000円>

媒介を行った宅建業者が免税事業者であった場合、売買の媒介・貸借の媒介とも報酬上
限額は<税抜き手数料額 × 1.025>となっており、税抜き手数料を超える部分(2.
5%部分)も消費税ではなく、報酬の一部であるとされています(宅地建物取引業法の解
釈・運用の考え方 第46条第1項関係 5消費税の免税事業者の仕入れに係る消費税の
円滑かつ適正な転嫁について)。

事業者は、売り上げ時に顧客から消費税を預かる一方で、仕入れや経費の支払い時に消
費税を支払っているため、確定申告をして、<預かった消費税 - 支払った消費税>を
納める(マイナスであれば還付される)こととなっています(消費税法第45条、同法第
46条)。
免税事業者は仕入れや経費の支払い時には消費税を支払っていますが、還付を受けるた
めの申告の対象外となっています(消費税法第46条)。そこで、仕入れや経費の支払い時
に支払った消費税額を媒介報酬(売り上げ)の2.5%とみなして、依頼者に転嫁しよう
というものです。「転嫁する」と表現すると、依頼者は損をしたように感じるかもしれませ
んが、消費税は流通過程で転嫁され財やサービスの最終消費者が負担するものであり、ま
た、本来消費税5%を負担する場面ですので損にはあたらないと思います。

媒介報酬における消費税の扱いについて、増税前に改めてご確認ください。また、上記
の数字については、消費税率5%を前提としたものです。増税時にはご注意ください。

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