複雑な不動産収支のしくみを正しく理解して、利回りを最大化する

(ZUUコラム記事より転用しております)

◉不動産で収入を得るってどういうこと?


一見良い投資に感じる不動産事業。家賃収入で老後はのんびり暮らしたい。
そんな生活を夢見ている皆さん、不動産事業における収支のしくみはしっかり理解できていますか?

「なんとなく始めてみたいな」と広告を見ると良い面ばかり目についてしまいがちですが、その数字には落とし穴も存在します。
グロス利回りやネット利回り、支払い義務のある税金などの理解は投資を始める前にきちんと押さえておきたいポイント。
今回は不動産事業で失敗しないために、収支の仕組みを分かりやすくご紹介します。

◉グロス利回りと実質利回りの違いを知っていますか?


不動産投資でよく聞くグロス利回りとネット利回り。
この違いをしっかり認識しておかないと不動産投資で思ったように収入が上がらない、なんてことに繋がりかねません。

グロス利回り=表面利回り、とも言われるもので計算式は下記になります。
現在の年間家賃収入÷物件購入金額×100=グロス利回り(%)

そしてネット利回り=実質利回りは
(現在の年間家賃収入-年間にかかる経費)÷(物件購入額+購入時の諸経費)×100=ネット利回り(%)

つまりグロス利回りは購入時の諸経費やランニングコストでかかる諸経費が考慮されていません。
ネット利回りに出てくる諸経費とは、運営時に必ず必要になってくる物件管理費(管理委託費、修繕積立費等)や税金(固定資産税、都市計画税等)。

すなわちネット利回りは純利益を考慮した値と言えます。
実際購入しようと思っている物件の築年数が古めだったり、設備機器の取替に費用がかさみそうな事が予想される場合、
物件管理費が上がるため純利益は下がり、それに伴いネット利回りも減少します。

さらに物件を購入する際、広告やネット情報で「表面利回り○%」と謳っているものを見かけますが、
その数字は満室を想定して出されているものが多く、そこに注意が必要。
実際日本の平均空室率は2割と言われており、安全率を見るのであればその空室率20%もしくは15%程度を差し引いた家賃収入で計算し直してから検討してみた方が無難でしょう。

 ◉不動産で出てくる「キャッシュフロー」とは何か?


不動産事業において最も重要と言えるキャッシュフロー。不動産における収入と支出を指し、不動産事業ではこのキャッシュフローがプラスになっていないと、 毎月自分の貯金を切り崩すハメになってしまいます。物件を買うほとんどの人が銀行などの金融機関から借り入れローンを組み購入しますが、家賃収入からロー ン返済額や物件管理費、固定資産税等の税金全てを差し引いた金額がキャッシュフロー。

キャッシュフローを算出するにあたり、最も大きな影響を及ぼすのはローン返済額。
金融機関の借入期間を長くすればするほど当然返済額は減るためキャッシュフローは大きく、逆に短い期間で返済しようと思うのであればキャッシュフローは小 さくなります。ところが長期にわたる返済とするとその間抵当権は銀行のもの。さらに変動金利でお金を借りている場合は、万が一金利が上昇した場合に影響を 受けやすい、最終的な返済額は大きくなるというデメリットもあります。

とは言いながら、大多数に選ばれているのはやはりキャッシュフローを重視した長期借入型。
金利交渉をあらかじめ行っておく、途中で余裕が出てくれば繰り上げ返済をする、ということも可能ですので、まずは無理をしない範囲で計画を立てましょう。

 ◉不動産事業で必ず出てくる!知っておきたい支出面


物件を初めて所有する方は特に「こんなにお金が出てくると思わなかった!」と感じることもあるかもしれません。まずは最初の1年。
どこの何にお金を使ったのか、しっかり書き出してみましょう。

例えば物件購入時に必ず出てくる支出は下記のようなものが挙げられます。
・物件の購入額
・不動産取得税&不動産登記代
・仲介業者への手数料
・物件の現状によりリフォーム
・入居者募集の広告代
・物件視察等にかかる交通費

最初は必ずかかってくる物件購入のお金。
借入をする人が大多数ですが、もし少しでも費用を安く抑えたいというのであれば根拠に基づいた指値をしてみることも一つの手。
しかし競合者もいればなかなか思い通りにはならないことも多い購入金額。初期投資はある程度の支出を覚悟しなくてはなりません。

さらに物件購入後ランニングコストとしてかかってくる支出
・ローン返済
・物件管理費(仲介業者に委託する場合)
・維持管理費(共用部の電気代等、共益費として入居者が支払う場合も有り)
・入居募集のための広告代(仲介業者により入居が決まった際手数料が発生)
・物件維持管理のためのリフォーム積立
・固定資産税&都市計画税

自身で全ての管理を行う、リフォームも業者に頼まない、であれば支出を減らすことも可能ですが、
その場合自身が不動産管理に費やす時間もしっかり考慮に入れる必要があります。
副業ではじめたはずの不動産が本業以上に時間を取られていては元も子もありません。

仲介業者に委託する場合、その管理状況や手数料は仲介業者によって違うケースが多く見られます。
あまりにケチしすぎると“安かろう悪かろう”なんて事態も発生しかねません。
長く不動産を運営していきたいのであれば、自身の納得できるサービスを提供してくれる仲介業者やリフォーム会社を見つけ、
良好な関係を長く築いていくというのも重要なこと。しっかりとした管理は入居率アップにも繋がり、費用対効果の高い支出となります。

不動産事業では長期的な目線で何がどのくらいかかるのか把握しておくことは必須。
できれば不動産事業にかかる全ての収支は一つの通帳にまとめ、分かりやすい管理を行っていきましょう。

◉これから利益の高い不動産投資をするために


不動産事業で頭を悩ませる、いかに収入を増やし支出を減らすか、という問題。税金など一定のものは自身では変えられないものもありますが、購入する際は指 値で購入金額を小さくする、リフォームは業者から相見積もりを取り安く仕上げてもらう、という支出を減らす努力も大切です。

しかし不動産投資に成功している多くの人が実感しているのは、物件を長く運営していくにあたって、良い仲介業者との連携関係が何より重要であるというこ と。徹底された管理や迅速なクレーム対応は入居者の満足度に繋がり、最終的に満室の家賃収入という形であなたの元に返ってきます。

時代の流れに伴い、住居のサービスはぐっと良くなってきており、入居者の敷金礼金で全てをまかない自身の懐から支出を出さない、という大家さんは減少気 味。いかに支出を減らすか、という点ばかりに焦点を当てるのはなく、大家さんの唯一の収入源である家賃収入をいかに高く保つか、
に比重を置いた物件管理がこれから一つのポイントになってくると言えるでしょう。

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