2014年、地価の上がる街〜東京・大阪・名古屋圏〜

(ZUUコラム記事より転用しております)

◉住宅地の地価上昇は「復興需要」


本題に入る前に、2012年~14年の地価上昇率ランキングをおさらいしておきましょう。図表1のとおり、住宅地における公示地価の上昇率上位5地点はすべて、「被災3県(岩手、宮城、福島県)の高台」となっており、復興需要が被災3県の高台における住宅地需要をもたらし、結果として地価上昇に繋がったと考えられます。
但し、3年連続で公示地価の上昇率トップとなった「宮城県石巻市須江字しらさぎ台1丁目3番3」の公示地価上昇率は、震災直後の2012年が60.7%で あったのに対し、2013年は23.6%、2014年は15.1%と上昇の幅は小さくなってきております。復興需要による被災3県の地価上昇は今後沈静化 すると考えられます。

図表1 2012年~2014年の公示地価変動率上位5地点(住宅地)

2014年 2013年 2012年
順位 都道府県 住所 公示価格
(円/㎡)
変動率
(%)
都道府県 住所 公示価格
(円/㎡)
変動率
(%)
都道府県 住所 公示価格
(円/㎡)
変動率
(%)
1 宮城県 石巻市須江字しらさぎ台1丁目3番3 32,000 15.1 宮城県 石巻市須江字しらさぎ台1丁目3番3 27,800 23.6 宮城県 石巻市須江字しらさぎ台1丁目3番3 22,500 60.7
2 福島県 いわき市中央台鹿島1丁目5番3 49,000 11.6 岩手県 上閉伊郡大槌町大槌第16地割字大石前20番49 28,300 15.0 宮城県 石巻市新栄1丁目14番3 23,000 29.2
3 宮城県 石巻市新栄1丁目14番3 29,100 11.5 宮城県 石巻市広渕字町南一308番 16,000 14.3 宮城県 気仙沼市東新城1丁目5番4 36,600 18.1
4 宮城県 仙台市太白区八木山本町1丁目12番9 78,000 11.4 宮城県 石巻市新栄1丁目14番3 26,100 13.5 宮城県 宮城郡七ケ浜町汐見台3丁目2番112 36,100 14.2
5 福島県 いわき市草木台2丁目10番3 41,500 11.3 岩手県 上閉伊郡大槌町赤浜3-1-25 18,500 11.4 宮城県 石巻市広渕字町南一308番 14,000 12.0

出典:地価公示(国土交通省土地鑑定委員会)より筆者作成

◉商業地の地価上昇のキーワードは「再開発」と「新幹線」


続いて、商業地における2012年~2014年の地価上昇率ランキングをみて参ります。商業地も住宅地と同じく傾向がはっきりしています。
図表2から判るとおり、東京圏では川崎駅周辺及び武蔵小杉地区で再開発が進む神奈川県川崎市及びスカイツリーに近接している浅草、千住がランキングに入っています。名古屋圏では、中心街である中区及び名古屋駅に隣接している中村区椿町がランキングに入っています。
名古屋駅周辺では、三菱地所やJR東海による再開発が進行中であり、リニア新幹線の建設もあいまって地価が上昇傾向にあると考えられます。
大阪圏では、再開発が進む「うめきた」地区に隣接する大阪市福島区が上昇ランキングに入っています。
その他地域では、2011年3月の九州新幹線の開業に伴い2012年には福岡県の博多駅前が、2014年のランキングでは2015年の北陸新幹線の開業を 控え、石川県の金沢駅前がランクインしています。これらのデータから、商業地の地価上昇のキーワードは「再開発」と「新幹線」であると考えられます。
また、商業地の上昇率は住宅地と反対の傾向を示しており、2012年から14年と進むにつれて上昇幅が大きくなっており、住宅地よりも商業地に注目すべきと考えられます。                                                                                         

図表2 2012年~2014年の公示地価変動率上位5地点(商業地)

2014年 2013年 2012年
順位 都道府県 住所 公示価格
(円/㎡)
変動率
(%)
都道府県 住所 公示価格
(円/㎡)
変動率
(%)
都道府県 住所 公示価格
(円/㎡)
変動率
(%)
1 愛知県 名古屋市中村区椿町15-2
(ミタニビル)
1,960,000 12.0 神奈川県 川崎市幸区大宮町14番5
(尊昌ビル)
845,000 11.9 東京都 足立区千住旭町40-22
(ツボイビル)
762,000 7.3
2 神奈川県 川崎市幸区大宮町14番5
(尊昌ビル)
942,000 11.5 神奈川県 川崎市中原区新丸子町922番1外
(レイロービル)
1,260,000 10.5 愛知県 名古屋市中区丸の内3-16-11
(丸の内パークマンション)
600,000 6.4
3 神奈川県 川崎市中原区小杉町3丁目441番29
(カハラ小杉駅前ビル)
1,170,000 11.4 神奈川県 川崎市幸区堀川町72番2外
(ホテルメッツ川崎)
2,100,000 9.9 福岡県 福岡市博多区博多駅前3-2-1
(日本生命博多駅前ビル)
2,320,000 5.9
4 石川県 金沢市広岡1-1-18
(伊藤忠金沢ビル)
293,000 11.4 神奈川県 川崎市中原区小杉町3丁目441番29
(カハラ小杉駅前ビル)
1,050,000 9.9 福岡県 福岡市博多区博多駅東1-12-6
(花村ビル)
1,820,000 5.2
5 大阪府 大阪市福島区福島6-20-2
(チェリーヒルビルパート2)
472,000 11.1 東京都 台東区浅草1-1-2
(弘隆ビル)
1,810,000 9.0 愛知県 名古屋市中区金山4-6-27
(金山共同ビル)
1,040,000 5.1

◉東京圏商業地で上昇しそうな町は「中央区」「港区」「品川区」出典:地価公示(国土交通省土地鑑定委員会)より筆者作成


「再開発」と「新幹線」をキーワードに筆者が2014年に地価が上昇しそうな町をピックアップすると、
「中央区」「港区」「品川区」であると考えています。(図表3)
これらの区では、下記図表4のような再開発プロジェクトが予定されており、駅前の商業地を中心に地価の上昇が予想されます。
さらに、「品川駅」を抱え、「羽田空港」へのアクセスも良いため、交通利便性も高い地区となります。
実際、東京23区の公示地価上昇率をランキングすると都心部の中央区、港区はベスト3となります。
品川区(商業地)の変動率は2.1%であり、江東区や目黒区より上昇の幅は小さいですが、2013年後半に羽田空港アクセス新線の建設構想が上がったこ と。2015年はじめに首都高速中央環状線の延伸が決定するなど、「品川区」では交通利便性向上のプロジェクトが動いており、
地価に好影響を与えると筆者は考えております。(図表4)

図表3 東京圏で地価が上がりそうな地域

順位 都道府県 住所 公示価格
(円/㎡)
変動率
(%)
都道府県 住所 公示価格
(円/㎡)
変動率
(%)
都道府県 住所 公示価格
(円/㎡)
変動率
(%)
1 東京都 中央区勝どき3-4-18 954,000 10.9 福岡県 福岡市早良区高取2-5-10 259,000 10.7 愛知県 名古屋市東区徳川町2609番1 234,000 9.9
2 東京都 中央区佃3-3-9 1,430,000 10.9 福岡県 福岡市早良区西新2-11-9 295,000 10.1 愛知県 名古屋市東区白壁3-27-8 225,000 9.8
3 東京都 中央区月島3-25-3 952,000 10.8 神奈川県 川崎市中原区小杉町2丁目207番4 469,000 9.1 愛知県 名古屋市千種区清住町2丁目38番1 300,000 7.1
4 愛知県 名古屋市東区橦木町3丁目4番 364,000 10.6 神奈川県 茅ケ崎市赤松町12-36 250,000 7.3 神奈川県 茅ケ崎市赤松町12-36 233,000 6.9
5 東京都 中央区佃2-12-12 925,000 10.1 愛知県 名古屋市千種区清住町2丁目38番1 320,000 6.7 愛知県 名古屋市名東区上社2丁目45番 221,000 5.2

 

図表4 東京都都区部の区別公示地価前年比上昇率
住宅地 商業地
順位 変動率
(%)
変動率
(%)
1 中央区 8.7 中央区 4.7
2 千代田区 6.0 港区 4.4
3 港区 5.9 千代田区 4.2
4 新宿区 2.8 新宿区 3.4
5 渋谷区 2.8 渋谷区 3.4
都区部平均 1.8 都区部平均 2.7
全国平均 -0.6 全国平均 -0.5

【筆者紹介】
飛田久平 身近なニュースを投資に結び付けるという視点で10年超投資を行っている個人投資家です。FP資格保有。

出典:Craft Map http://www.craftmap.box-i.net/

◉関西圏は「あべのハルカス」よりも「うめきた」が有望。


関西圏で「再開発」と「新幹線」のキーワードを元に注目すべき町は、JR大阪駅北側の再開発エリア「うめきた」の周辺地域である大阪市北区及び福島区の地域です。
これらの地域では、2014年の公示地価の上昇率(商業地)が北区では5.4%、福島区では5.2%と、大阪市の平均の3.6%を超える伸びを見せております。
一方、「あべのハルカス」がある阿倍野区、天王寺区も2014年の公示地価の上昇率(商業地)は4.3%、6.0%の大きな伸びですが、
阿倍野区、天王寺区は新幹線や空港からのアクセスが「うめきた」地区から劣ります。
過去大阪の再開発は、「OBP」や「南港」のように交通の便が悪い地区では失敗してきました。
このことから阿倍野区、天王寺区よりも北区及び福島区が今後の地価上昇が見込まれると考えられます。

◉名古屋圏は「名駅」周辺と地下鉄鶴舞線、名鉄豊田線沿線が注目


名古屋圏では、商業地は三菱地所やJR東海による再開発事業が進んでいる名古屋駅周辺の名古屋市中村区。
住宅地では、住環境がよく人気の高い、名古屋市から豊田市へ伸びる地下鉄鶴舞線、名鉄豊田線沿線の、
名古屋市東区、昭和区、瑞穂区、日進市、みよし市の住宅地が平均を超えており注目です。
名古屋圏の特徴としては地価上昇率が3大都市圏の中では最も大きくなっている点です。
名古屋の地価上昇に追従して東京、大阪圏の地価が上がっていることから、名古屋圏の動きは全国に先がけた動向であると考えられます。

◉三大都市圏以外では「北陸新幹線」開通の「金沢」「富山」に注目


3大都市圏以外では、筆者は「新幹線」の開通による地価上昇に注目しています。
2015年春には北陸新幹線長野~金沢間の開通、2016年には北海道新幹線新青森~新函館間が開通予定です。
特に「金沢市」「富山市」の両都市は、(ア)県庁所在地であること(イ)中心駅に新幹線が乗り入れること(ウ)東京、大阪へ2時間~3時間の所要時間で行けることから新幹線開通による交通利便性の向上が大きいと考えられます。「
金沢市」では、金沢駅前武蔵地区や中心の香林坊地区での再開発により、金沢駅前のビルでは2014年の公示地価の上昇率が前年比11.4%と、全国4位に入りました。
富山市でも、富山駅から210mの富山市桜町2丁目では、前年比2.6%上昇しています。富山市は「コンパクトシティ」構想として中心部の公共交通の整備を継続して進めていることも相まって、今後富山駅前では地価の上昇が見られると考えられます。

 

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