RETIOメルマガ第92号 老朽マンション対策について

RETIOメルマガ第92号より引用しております。

東日本大震災の発生を契機に耐震改修促進法、マンション建替え円滑化法が改正される
など、老朽マンションの対策が課題になっています。国土交通省によれば、「我が国のマン
ションのストック総数は約590万戸であり、そのうち旧耐震基準により建設されたものが
約106万戸存在し、それらの多くは耐震性不足であると考えられるところ、マンションの
建替えはこれまで183件、約14,000戸の実施にとどまっており、巨大地震発生に備えw)€「襪・・w)錫鮠めに、耐震性不足のマンションの耐震化の促進が喫緊の課題となっている。」としています
(国交省記者発表「マンションの建替えの円滑化等に関する法律の一部を改正する法律案
について」(平成26年2月28日))。
過去のメルマガでご紹介したとおり、賃貸マンションについては、すでに耐震建替え等
を理由とした賃貸借契約更新拒絶、明け渡し請求が増えているようであり、最近の判例を
見ても、建物老朽化の程度、貸主の建替え計画の具体性、借主の継続利用の必要性等を勘
案して、立退料等相応の代償措置を講じることで請求が認められたケースが増えているよ
うに思われます。一方で、分譲マンションについては、それぞれの住人が所有する区分所
有権の塊ですから、建替えをしようとする場合には、区分所有法に基づく集会決議がまず
必要となる(5分の4以上の賛成)など、区分所有者の方々の合意形成、専門家の支援など
が事業を進める上で重要な要素となります。
当機構が主宰して行っている不動産再生研究会ではw)€氈「海譴泙蚤燭・離泪鵐轡腑鷏暲悗・・w)錫鮠を携われてきた旭化成不動産レジデンス様をお迎えして詳しくお話を聞きました。これま
でのご経験によれば、住民の方々は平均して築後35年くらいで建替えの是非について検討
を始め、実際のマンション解体時点の築年数は約45年くらいとのことでした。ちなみに国
土交通省はマンションの大規模修繕工事の周期目安を12年とし、実施回数を重ねるにつれ
改良の割合を大きくした改修工事が必要とアドバイスしています。つまり3回目の大規模
修繕時に建替えを意識し始め、4回目に建て替えを実施する例が多いようです。また、東日
本大震災による意識変化も認められるそうであり、震災直後に相談はなかったものの、個々
のマンション内で2年ほど議論した結果、今になって相談が増えてきたとのことです。
その相談の中で気づいたこととして、マンション管理組合の理事長の中には、容積率ボー
ナスなどを活用すればマンション建替えは住民負担なく今とほとんど同じ面積の床を手に
入れることができるとの思い込みが見られることだそw)€「Δ任后3里・法△海譴泙琶麁擦気譎・w)錫鮠てきたマンション建替え事例は、元々容積率に余裕があったり(東京建物が参画した多摩
ニュータウン諏訪地区のケース)、隣接する建物と一体で建替え、総合設計制度を活用して
割り増された容積率を利用できたため(野村不動産が参画した東京都港区白金台のケース)、
追加された容積率に対応した床が新たに生み出されることで、住民が建替え後に取得する
床面積を減らすことなく建替え資金を調達できた、つまり還元率が100%というものがあり
ました。
しかし、このような環境に恵まれたマンションはそう多くありません。先の国会で改正さ
れたマンション建替え円滑化法には、耐震性不足の認定を受けたマンションの建替えによ
り新たに建築されるマンションで一定の敷地面積を有し市街地環境の整備・改善に資する
ものについて、特定行政庁の許可により容積率制限を緩和するとの規定がありますが、仮
に指定容積率が上がったとしても、日影規制や前面道路幅員等に基づく規制などがかかっ
て指定容積率一杯を使える保証はありません。建替えに必要な準備金のプールが十分でな
く、追加の容積率も期待できない場合には、住民負担ゼロの建替えは結果的に難しく、む
しろ住み替え資金を確保する意味で、区分所有権と敷地持ち分を一括売却して資金化する
方が現実的な場合もあるでしょう。改正マンション建替え円滑化法の目玉は、耐震性不足
の認定を受けたマンションについては、区分所有者等の4/5以上の賛成でマンション及
びその敷地の売却を行う旨を決議できることとする、つまり、一括売却決議制度の導入で
すが、このようなケースに備えたものとも言えるでしょう。
なお、老朽マンション建替え等に関連して宅建業者の方々が注意することとしては、中
古マンションの区分所有権売買を仲介する場合に、将来、建替えや大規模修繕が予定され
ているかどうかを管理組合に事前に確認しこれを相手方に説明しておくことが大事です。
買ったとたんに管理組合から多額の修繕費の請求がなされたとして仲介業者の説明責任を
追及したり、建替えがあることを知らずに中古マンションを買ってリノベーションをした
直後に建替え決議があることを知り、強硬な反対者になったケース(建替え前マンション
に有する権利を、建替え後マンションの権利に変換する権利変換計画においては設備の価
値はカウントされません。区分所有者間で不公平になるからです。)もあるそうです。老朽
マンション対策は不動産に明るい専門家の支援が不可欠ですので、読者の皆様におかれて
もできる限りのサポートをお願いします。

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