土地を活用した相続対策 vol1~アパートマンション経営〜

(ZUUコラム記事より転用しております)

○土地活用とはそもそも何か

はじめまして、不動産投 資アドバイザーの棚田と申します。第一回目の今回は、「土地活用によるアパートマンション経営」についてお話させて頂きたいと思います。更地のままでは何 の利益も生み出しませんが、税金は高額。アパートマンション経営をすれば、税金も安くなって、家賃収入も得られる。これが土地活用の基本的な目的でござい ます。

土地活用の一番のポイントは、「節税対策」と「現金収入アップ」の二本柱が非常に重要です。

 

○アパートマンション経営に関連する3つの税金と節税の関連性

アパートマンション経営をするうえで、節税効果のある3つの税金「固定資産税」「不動産取得税」「相続税」についてお話します。

固定資産税:

土地に関しては、それをただ保有しているだけで、「固定資産税」や、場合によっては「都市計画税」が毎年課税されてしまいます。

特に固定資産税に関しては、市町村が土地や建物に決めた固定資産税評価額、及び課税標準額に基づき税額を決定しています。

固定資産税課税標準額(課税の対象となる金額)の1.4%が、固定資産税とされており、土地でも建物でも課税対象となっているのですが、建物の方には特例があり、固定資産税課税標準額が大幅に引き下げられるという措置がとられています。

これは「住宅用地に係る課税標準額の特例」という制度で、住宅用地に関しては、その土地の課税標準額がつぎのように軽減されます。

 

小規模住宅用地(住宅用地は200m2以下の部分)の場合:

固定資産税評価額×1/6=固定資産税課税標準額

 

一般住宅用地(200m2を超える部分)の場合:

固定資産税評価額×1/3=固定資産税課税標準額

※土地に建てられた建物の床面積の10倍が上限

 

不動産取得税:

土地や建物を取得、及び増改築したときに1度だけかかる地方税で、固定資産評価額 × 4%が課税されます。

アパートやマンションを新たに建てた場合、下記要件を満たせば建物の固定資産評価額から1戸あたり1,200万円の控除が受けられ、さらに税率3%となります。

なお土地についても固定資産税評価額が半分に軽減され、さらに一定の控除もが受けられます。

 

ア.建物の不動産取得税

建物税額=( 固定資産税 - 新築建物の控除額 )×3%

新築建物の控除額は、1,200万円

イ.土地の不動産取得税

土地税額=(固定資産税評価額×1/2×3%)-土地の控除額

土地の控除額は、次のいずれか多い金額

1・ 45,000円

2・ (土地1m2あたりの固定資産評価額×1/2×住宅の床面積の2倍で200m2まで)×3%

 

相続税:

土地や建物の所有者が死亡すると、相続人に対して相続税がかかります。

アパートやマンションを相続する場合には、土地部分は「貸家建付地の評価減」の適用を受けられ、建物部分は「建物の評価減」を受けることができるため、更地の場合よりも相続税の節税効果があります。

1.土地の節税効果:

アパートやマンションが建っている土地は「貸家建付地」と呼ばれ、借地権割合と借家権(建物を借りている人の権利)割合を掛けた分を更地の場合の相続税評価額から差し引くことができるため、相続税の評価額が結果的に低く抑えることができ、相続税を減額することができます。

さらには、「小規模宅地等の評価減」という特例措置があり、一定の要件をみたすと200m2までは50%で評価されさらに節税効果をアップできます。

2.建物の節税効果:

アパートやマンションなどの建物の場合は、「借家権」を相続税評価額から差し引いて評価されます。相続税評価額(固定資産税評価額と同じです)から「借 家権」を差し引く割合のことを「借家権割合」といい30%です。ですから、アパートやマンションの建物部分は通常の70%で評価されるため、相続税評価額 がより抑えられ、結果として節税効果につながります。

3つの税金を通して共通しているのは、更地にアパートやマンションを建てることにより、更地の時よりもかなりの節税効果が見込めるという点です。

 

○アパートとマンションのメリットとデメリット

では、アパートとマンションのどちらを建てたほうが良いのでしょうか。

更地の面積や周辺状況などにより、建てられる建物の規模に制限があるため、選択できない場合もありますが、ここでは一般的にどのような違いがあるのかご説明します。

アパートとは、

一般的に木造、軽量鉄骨造、プレハブ造、などの構造物

を指しており、
マンションとは、

鉄骨造(鉄骨ALC造)、鉄筋コンクリート造(RC造)、鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC)

を指しています。明確な規定はありませんが、外観等の見た目ではなく、建物自体の構造で判断されます。

ではそれぞれのメリットとデメリットを少し上げてみたいと思います。

マンションの場合

メリット、

・遮音性が高い

・セキュリティが高い

・耐震強度が高い

 

デメリット

・建築費が高い

・アパートに比べ居室が狭い

・気密性が高く結露しやすい

 

アパートの場合

メリット

・建築費が安い

・マンションに比べ居室が広め

・通気性があり、湿気がたまりにくい

 

デメリット

・遮音性が低く音が響く

・セキュリティ面に難点がある

・耐震強度が不安

 

見て頂くとわかるとおり、マンションとアパートではメリットとデメリットがほとんど真逆、つまり相対しているのです。なぜこれをご説明したかといいます と、明確にどちらがいい、というわけではなく、どちらを建設するにしても、それぞれのデメリットを打ち消す対策を事前にとることで、後々の賃貸経営が楽に なるということを知って頂きたいのです。
アパートであれば、壁に遮音ボードを入れるとか、簡易的なオートロックをつける。
マンションであれば、予め広めの居室を設定したり、結露防止素材を使ったり。

弱点を事前に補うことで、どちらを建設したとしても、ほかの物件に負けない競争力を持つことができるのです。

 

○借人に人気のある間取りと設備

アパートやマンションは建てただけでは当然家賃は入ってきません。

次に入居者を不動産屋さんに募集してもらわなければならないのですが、住宅供給過多が叫ばれている昨今、どのような間取りや設備に人気があるのかを事前に知っておくことはとても大切です。

とくに、間取りなどは一度建ててしまうと簡単には変えられないため、事前にしっかり確認しておくことが得策です。

ここでは、オーソドックスなものではなく、現場の不動産屋のみぞ知るポイントをいくつかご紹介します。

1.冷蔵庫置場の場所が重要

アパートやマンションの設計士の方は、土地を有効に活用でいる建物を設計することは得意なのですが、実際の入居する方に人気のある間取りの要点を押さえられていないことが多々あります。

1Kのケースでよくあるのが、「冷蔵庫置場が居室側にある」という間取りです。

通常ですと冷蔵庫はキッチンの隣に置場があり、室内側にないことが多いのですが、稀に居室側にあることがあります。

確かに設計上はその方が楽な場合もあるのですが、多少居室が狭くなったとしても、冷蔵庫置場はキッチン側につくるべきなのです。

最近の若い人は、狭いお部屋で生活した経験が少なく、冷蔵庫のモーター音などをとても気にする人が多く、図面を見せるとかなりの確率で嫌がられます。

必ず扉を隔てたキッチン側におけるよう間取りを調整することをおすすめします。

 

2.室内洗濯機置場は重要

最近のアパートでも稀に洗濯機置場をベランダに設置している物件があります。

家主さんに聞いてみると、居室部分を広くするため、場所をとる洗濯機置場はベランダに設計してもらった、と言われていましたが、これは完全なミステイクです。

先ほども申し上げた通り、最近のワンルームの入居世代は、若者が中心で、みなさん結構繊細なのです。

いくら部屋が広くなるからといっても、ベランダという外に洗濯機を置くのを皆さん嫌がります。

 

大切なことは、建築会社の提案をうのみにしないということです。

建築会社は建設のプロではあっても、不動産賃貸のプロではないのです。

提案してくる図面の多くは、いかに効率よく建設できるかを追求したものであり、必ずしもの消費者のニーズが繁栄されたものではないということを覚えておいてください。

 

○失敗しないための管理会社の選定方法

これらに気を付けてアパートやマンションを建てたら、今度はそれを運営してくれる管理会社を決めます。

もちろん、管理会社は必ず頼まなければならないわけではなく、自分自身で管理しても全く問題ありません。

ただ、部屋数が多い建物になると、毎日のように自宅の電話が鳴り、いろいろな苦情対応や修理の手配がとても大変ですので、

管理会社に委託することをお勧めします。

そこでどの管理会社にお願いするかなのですが、安易に近所の不動産屋に任せるのだけはやめてください。

オススメなのは、施工した会社の関連会社が賃貸管理をやっていれば、まずはそこにお願いすることが一番お勧めです。

クレームの大半は、建物の設備に関することが多く、施工した会社の関連会社が管理をすると建物の構造や設備を熟知しているため対応が早くとても安心です。

もしそういった管理会社が無い場合ですが、できるだけ経験が長い不動産管理会社を選ぶことをお勧めしています。

その見分け方はとても簡単です。

不動産屋の広告を見ると、下の方に「東京都知事免許(3)」という数字が書かれています。

この数字の意味は、その不動産屋さんがどれくらいの月日を営業しているかを示しています。

宅建業の免許有効期間が5年のため、1回更新するごとにこの数字が増えていきます。

最初が1で、あとは5年ごとに増えていきますので、この数字を見るだけで大体の営業期間はわかります。

できるだけ1や2は避けたほうが良いと思います。

経験が浅いと、突発的な事故に対するノウハウが不足していたり、人手不足だったりする場合もありますので、できるだけ経験の長い3以上の業者を選ぶことをお勧めいたします。

特に都内では、昨今、不動産業者が乱立しており大した経験もないのに宅建免許を取得し営業しているところがたくさんあり、ホームページを見てもはっきりと設立年月日が記載されていないような会社もありますので、必ず上記はチェックしてみてください。

○現在の景気動向に見るアパートマンション経営の将来性

いかがでしたでしょうか。

最後に、今後のアパートマンション経営の将来性について少し触れたいと思います。

去年までは、リーマンショック以降長きにわたり都内も含め全国的に不動産の家賃価格は下落し続けてきました。

しかし、景気対策がされはじめて以降、昨年夏頃から徐々に回復の兆しが見えてまいりました。

それに加えて、東京オリンピックの決定などもあり、都内の不動産の価格回復に拍車がかかってきております。

また、東日本大震災以降は、あらゆる建設会社の多くの労力や建築資材が東北の復興に充てられたため、東北以外でアパートやマンションを建設すると、費用が 通常の10%ほど割増しになったりすることもございましたが、今はそれも落ち着きを取り戻してきております。今までかなりの期間家賃が下がり続けておりま したので、まだ多くの家主さんが強気になりきれておりませんが、現在中国、台湾などの投資家が、日本の将来の不動産高騰を見込んでどんどん都内の物件を購 入しはじめています。

まさにこれからアパートマンション経営を始めようとお考えの方には、これ以上ないくらいのベストタイミングではないでしょうか。

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