相談・紛争事例63

財団法人不動産適正取引推進機構 相談・紛争事例63より引用します。

中古マンションの契約をしたAさんからの相談です。
ある日、突然に「中古マンションの良い物件がでましたので、ご案内の電話をしました」と
不動産業者から電話がありました。興味があったので翌日自宅で説明を聞き、1週間後に
案内してもらいました。「よく考えてから決めたい」と伝えましたが、自宅で夜の12時位に
手付金8万円を支払って契約しました。融資の申込銀行から断られ、現在、別の銀行に申込
手続中です。契約を解除したいと申し入れましたが「いま止めると違約金560万が発生する」
と言われ困っています。悪質な勧誘で契約させられました。クーリング・オフでやめられ
ますか(クーリング・オフの適用はないと書かれた書面にも、いわれるがままに印を押しました)。
悪質な勧誘で夜遅くまで粘られて契約しているから消費者契約法で取り消すこともできるとも
聞きましたが…。

(考え方)
宅建業者から突然の電話を受けたAさんは、かねてからマイホームを手に入れたいという
希望を持っていたので興味があり、翌日に自宅で会うことを約束して説明を受け、更に1
週間後に宅建業者の案内で物件を見に行きました。物件見学の日、夜に再度会うことを約
束して自宅で打合せをし、その際に「よく考えてから…」と申し出たものの、最終的には
契約を締結したものです。宅建業者は契約に際し、Aさんの希望により自宅での商談にな
ったことから、クーリング・オフの適用がない書面にも署名・押印をもらっています。
Aさんの話を前提に考えると、(1)Aさんの希望で自宅で契約していることから、本件におい
てはクーリング・オフで契約を解除することはできません。(2)悪質な勧誘による契約だった
との話ですが、突然に勧誘の電話をすること自体が不当な勧誘に当たるわけではありません。
また、契約を締結した時間が夜の12時になったことも、それだけで不当な勧誘による契約
ということもできません。Aさんは当初より、物件に興味があったことから、むしろ積極的に
営業担当者の説明を受けたと思われます。本件では、宅建業法で規制する悪質な勧誘行為や、
消費者契約法に反する不当行為があったとは言えません。
  しかし、Aさんは手付金8万円を放棄すれば契約を解除することができます。違約金は
発生しません。宅建業者は、買主が手付金を放棄して解除することを正当な理由(履行の着
手)なく拒否したり、妨害することが禁止されています。この禁止行為違反は「業務停止30
日」が処分基準となっています。宅建業者は、正当な理由もなく「いま止めると違約金が
発生する」などと告げることは禁止行為違反に該当することに注意が必要です。

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