相談・紛争事例64

財団法人不動産適正取引推進機構 相談・紛争事例64より引用します。

<売主の抵当権抹消時期の説明について>
  個人同士の中古マンション売買の仲介業者ご担当者からの相談です。残金決済直前に
なって買主から、「登記事項証明書を取得したら、まだ売主の抵当権が抹消されていな
いではないか。売買契約書の約定では、『売主は、抵当権その他買主の完全な所有権の
行使を阻害する一切の負担を消除する』と定めがあるのに、それがなされていないのは
契約違反だ」とするお申し出があったそうです。それに対し、仲介業者ご担当者は「売
買契約書の約定には、抵当権等を所有権移転までに消除する旨定めがあることと、抵当
権の抹消は、買主様が残金決済の際に売主に支払う残代金の一部で抹消するのでご心配
なく!」とお答えしたそうです。しかし、買主は「そんなことは聞いていない。契約と
は、同時履行が原則だ。買主のほうが先に残代金を支払い、それでもって売主の抵当権
を抹消するのはおかしい。」とおっしゃってきて、ご理解を得られないというものでし
た。
 当方からの回答としては、仲介業者として事前の説明不足を売主にお詫びして、抵当
権の残金時同時抹消についてご了解を得られるよう、ご説明して下さいとお話をさせて
いただきました。
ところで、多くの契約書で、本件と同じように、売主は所有権移転までに抵当権その
他買主の完全な所有権を阻害する一切の負担を除去抹消する旨の定めが広く利用され
ており、また、本件類似のトラブルも時々耳にします。そのため一部の宅建業者におい
ては、トラブルをきっかけに、買主より受領する残代金の一部を充当して売主の抵当権
を抹消する場合は、その旨を確認的な意味で特約に盛り込むことをしていることも実践
されているようです。
少なくとも、抵当権の抹消を残金決済時に行うことが予定されている場合は、契約時
に買主によく説明をしておくことが必要でしょう。

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