相談・紛争事例66

財団法人不動産適正取引推進機構 相談・紛争事例66より引用します。

借家人の友人(連帯保証人)による家財道具の処分等 

 賃貸住宅に入居されている借家人の友人で連帯保証人になった方から相談がありま
した。この方が連帯保証人になったのは3年前で、賃貸借契約は2年契約となっており、
契約更新の際、友人と大家さんとの交渉が円満に進まず、法定更新となったそうです。
その後、友人が行方不明になり、大家さんから友人の滞納賃料の支払いと家財道具の処
分を請求され、その対応について困っているとのことでした。

 まず、滞納家賃の支払いの件ですが、賃貸借契約が更新された場合、連帯保証人が更
新後の契約についても責任を負うか否かについては、「反対の趣旨をうかがわせるよう
な特段の事情がない限り、更新後の債務についても保証の責めを負う趣旨で合意がされ
たと解するのが相当であり、更新後も連帯保証人は責任を負う。」との最高裁判例があ
ります(平成9年11月13日 RETIO43-21)。この判例は賃貸借契約の更新が合意更新の
場合ですが、法定更新の場合についても、更新後に生じた債務にも及ぶとした判例(昭
和61年6月30日 東京地裁)があり、法定更新の場合であっても保証人の責任が肯定さ
れると思われます。
 従って、本件の場合も、更新後は保証を負わない旨の特段の特約がない限り、大家さ
んの要求に応じざるを得ないと思われます。早急に友人のご両親等と相談するなどして
対応していくことが必要だと思います。
 次に、家財道具の処分の件ですが、友人の家財道具とはいえ、慎重に対応すべきと考
えます。通常、連帯保証人は借家人の家財道具を占有しているわけではありませんので、
処分をする権限まではないと考えられます。家財道具を勝手に処分した場合、後で、不
法行為として損害賠償請求をされることも十分考えられます。本相談事例とは事情は違
いますが、連帯保証人が賃借人の制止を無視して家財道具を処分したことが不法行為と
された事例があります(東京地裁 平成23年2月21日 RETIO84-122)。
 以上のとおり、本件については慎重に対応することが必要だと思われますので、上記
のことを踏まえ、友人のご両親等や大家さんと相談されることが必要だと思います。

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