相談・紛争事例69

財団法人不動産適正取引推進機構 相談・紛争事例69より引用します。

高齢者向けサービス付きの賃貸住宅の入居希望者への説明について

  不動産仲介業者の方から、「サービス付き高齢者向け住宅に関する都道府県等への登
録制度が昨年10月から開始されましたが、これに限らず、高齢者向けサービス付きの
賃貸住宅の仲介をする場合には、サービスの内容をどこまで説明する義務があるのでし
ょうか。丁寧に詳細に説明しなければならないとすればかなり負担になるのではないか
という印象がありますが。」というご相談がありました。
 確かに、高齢者向けサービスには、安否確認サービスや生活相談サービス(高齢者住
まい法のサービス付き高齢者向け住宅登録制度はこの二つが必須です。)、食事、家事援
助、介護、医療などの様々なサービスがあって、それぞれのレベルも多様な上、内容に
応じてサービス料の額もかなりの幅があると考えられることから、物件ごとで正確に説
明することは、なかなか骨の折れる業務かと思われます。
 とはいえ、入居希望者からすれば、貸室の賃貸借契約も重要ですが、サービスの内容
や仕組み、サービス料などが入居の判断に重要な影響を及ぼす事項であるのも確かです。
 したがって、サービスの内容等については、宅地建物取引業法第35条第1項において
「少なくとも」として列挙する最小限必要な説明事項にはありませんが、これら以外に
説明すべき重要事項に該当すると考えてよいでしょう。
  ただし、誤解を与えてしまったり、説明不足があったりすると、トラブルの原因にも
なりますので、重要事項説明を行う際は、その方法に工夫が必要かと思います。
  例えば、高齢者住まい法における登録事業者であれば、入居希望者に対する契約前の
書面による説明が義務付けられていますので、一緒に説明する場をつくり、宅建業法上
の重要事項説明を取引主任者が行う中でサービス内容等の概要を簡潔に説明し、詳細は
登録事業者が行うといった方法もあるかと思います。一緒に説明するのが難しい場合は、
登録事業者作成の説明書面を事前に提供してもらい、重要事項説明の書面に添付して簡
潔に説明し、詳細は別途登録事業者から説明される旨を伝える方法もあるかと思います。
いずれの場合でも、仲介業者には調査説明義務がありますので、あらかじめ、仲介業者
又は取引主任者自身で登録事業者の事業内容を確認しておきましょう。
  以上、高齢者住まい法のサービス付き高齢者向け住宅を例にして紹介しましたが、他
のケースの場合であっても、仲介業者としては、サービスの提供事業者等との協力のも
とできちんとした説明を行うよう工夫すべきでしょう。
  高齢者向けサービス付の賃貸住宅の仲介マーケットは、現状は大きな規模ではありませ
んが、今後大きなウエイトを占める業務となっていくものと予想されるところです。

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