相談・紛争事例73

財団法人不動産適正取引推進機構 相談・紛争事例73より引用します。

○ 原状回復ガイドラインの適用に関するご相談
平成8年から約16年間借りていた賃貸マンションを退去しました。敷金は賃料の3か月分
36万円を預けていますが、管理業者から壁・天井クロス、フローリング、クッションフ
ロアーの張り替え、一部設備の取り換え等で約80万円の原状回復費用を請求されています。
確かに一部に擦り傷がついたり、汚れている部分などはありますが、16年間住んでいれば、
その程度の傷や汚れはついてしまうのではないかと思います。ガイドラインの考え方で自
分の負担を計算すると、洗面化粧台の修理費用2万円と特約にある畳・襖の張り替え費用3
万円の5万円です。仮にクロス等の原状回復義務があるとしても1円負担すればよいはず
ですので、その旨を管理会社に伝えたところ、「国土交通省のガイドラインは平成10年に
出されたもので、平成8年にはまだ出ていない。平成8年に契約された賃貸借契約には適用
がないので関係ない」と言います。
平成10年より前の賃貸借契約の場合、ガイドラインは適用されないのでしょうか。

国土交通省の原状回復ガイドラインは、トラブルが急増し、大きな問題となっていた賃貸
住宅の退去時における原状回復について、原状回復にかかる契約関係、費用負担等のルール
の在り方を明確にして、賃貸住宅契約の適正化を図ることを目的に、当時の建設省(現、
国土交通省)が平成8年~9年度に「賃貸住宅リフォームの促進方策」の検討の中で「賃貸
住宅リフォームの促進方策検討調査委員会」において平成10年3月に取りまとめ公表され
たものです。平成16年には、公表から5年が経過したことから、その後の判例を追加する
などの所要の改訂が行われ、更に、平成23年には再改定され、経過年数の考え方が大きく
変更され、クロス等は6年経過すると残存価値1円の考え方が示されました。
  このガイドラインは、近時の裁判例や取引等の実務を考慮のうえ、原状回復の費用負担
の在り方等について、トラブルの未然防止の観点からあくまで現時点において妥当と考え
られる一般的な基準をガイドラインとしてまとめたものです。法律ではありませんので、
いつからの賃貸借契約から適用するということはなく、賃貸年数にかかわらずすべての居
住用建物の賃貸借契約で活用されることが期待されています。
  したがって、「平成8年に契約された賃貸借契約には適用がないので関係ない」というこ
とはありません。相談者は、最新のガイドラインの考え方を基準に自分の原状回復費用の
負担分を計算して交渉することができます。
 なお、「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改訂版)」については、当機構ホ
ームページ中「啓発助言」をご覧ください。

不動産に関する税金、家賃集金代行など不動産管理に関するお問い合わせ

    お名前 (必須)

    メールアドレス (必須)

    題名

    メッセージ本文

    Leave a Comment

    メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

    CAPTCHA


    このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください